2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14760187
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊水 健史 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90302596)
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Keywords | 幼少期環境 / ストレス反応 / 社会行動 / 攻撃行動 / 母性行動 / 不安行動 |
Research Abstract |
初生期環境の研究モデルとして,我々は幼少期の早期離乳ストレスに注目し,ストレスを負荷されたマウスおよびラットでは数種の不安行動試験において不安傾向が上昇すること,その変化は成熟後長期にわたり持続すること,オス動物の群れ飼育下における攻撃行動が増加すること,さらにはストレス関連行動である常同行動が増加することを既に見出してきた。また幼少期における早期離乳ストレスによって精神覚醒作用をもつコカインに対する感受性が増加し,薬物依存のモデルとされる行動感作が脆弱化する事も明らかにしてきた。こうした変化がマウスの複数の系統,またラットでも確認された事,さらにはNIHのSuomi & Higleyらが報告したアカゲザルの実験結果と共通する事から,哺乳類全般で広く認められる現象であろうと想定している。今後、さらに母性行動や社会階級成立における早期離乳の影響を調査する予定である。また我々はテレメトリー発信機をラット体内に埋め込むことで,自由行動下における自律神経系の変動が測定可能なシステムをセットアップした。ラットを新奇環境(Physiology & Behavior,2002)あるいはストレスを受けたラットが放出した匂い(Physiology & Behavior,2000)に暴露することで体温が特異的に上昇すること(Stress-induced hyperthermia)が示され,精神的不安状態の良い指標になることが明らかとなった。今後、これら行動的および身体的特徴を測定できるシステムを用いる事で,より詳細な幼少期における環境の粗悪化のメカニズムが明らかにされるであろうと期待している。
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