2002 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯地域の「地表火を用いない在地農法」による持続的生物資源利用システムの展望
Project/Area Number |
14760210
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
及川 洋征 東京農工大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70323756)
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Keywords | インドネシア / スマトラ / 森林火災 / 在地農法 / 泥炭 / 火入れ / 焼畑 / 土地利用 |
Research Abstract |
本年度は,火入れ開墾によって煙害が生じているインドネシア共和国リアウ州(スマトラ島)の泥炭湿地林地域において,在地農法の調査および火入れ試験を行ない,持続的生物資源利用のための課題を検討した。現地調査は,主に同州シアック県において研究協力者の大学院生と2002年8月〜9月に実施した。 1.在地農法の調査 シアック・スリ・インドラプラ近郊のKampung Tengah, Benteng Hulu, Tuah Inderapuraにおける事例を観察した。持続的生物資源利用に関連する知見として,以下の知見を得た。 ・自然堤防上のホームガーデン内部において,小規模な火入れが行なわれ,園地内野菜作には灰が利用されていた。 ・泥炭地を開墾した農民から以下の経験談を得た。泥炭層はむやみに耕転しないほうが良い。火入れによって泥炭層の分解させれば稲作は可能。泥炭層が厚い土地では栽培が困難であるので,畑作(パラウィジャやゴム,アブラヤシ,パイナップル等の永年作物)に切り替えた方がよい。 2.火入れ試験 プラワン郡のアララ・アバディ社造林コンセッション内に残存する二次林の林縁部30x25mの小区画において火入れ試験を行った。火入れ時の地表火および煙の動態を,研究協力者の直接観察およびビデオ撮影によって調べた。降雨により地上部バイオマス(燃材)を充分乾燥できなかったためか,火入れによる煙の排出量を期待通りには抑えることができなかった。 火入れ前後のサンプル土壌のpH,理化学性等の分析をボゴール農大に依頼した。その結果,火入れの1週間後に土壌pHが3.5から5.3に上昇し,いくつかのミネラル分の上昇が認められた。 今後,長期的な視野をもって火入れの効果と適切な植生管理法について検討する必要がある。
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