2003 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯地域の「地表火を用いない在地農法」による持続的生物資源利用システムの展望
Project/Area Number |
14760210
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
及川 洋征 東京農工大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70323756)
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Keywords | マラウイ / デッザ / ロビ / ダンボ / 伏せ焼き / マウンド農法 / トウモロコシ残渣 / 季節性湿地 |
Research Abstract |
マラウイ共和国デッザ県ロビ地区の伏せ焼きマウンド農法「チクーサ」について、平成15年9月に、本学大学院生の富田淳也氏と、観察、インタビュー、火入れ試験を行なった。 本農法は栽培時期と場所によって3タイプに区分された。1)「ダンボ(季節性湿地帯)でのチクーサ」は、ダンボの斜面上部に発達するイネ科草本ツェケラ"Tsekela"(Hyparrhenia sp.)の群落を選び、雨季に主穀を作る。これは洪水の影響の少ない場所でアップランドの主穀生産を補っていると考えられた。2「アップランドの畑でのチクーサ」は、雨季に栽培の難しい野菜類を作る。これは現金収入が主目的であると考えられた。3)「ダンボ内の畑でのチクーサ」は、前の2タイプとは異なり、雑草を燃材とし、乾季に、換金用・副食用に野菜類を作る。 一般的なチクーサは次の手順で行なう。雨季前の11月頃に、ツェケラの根株を表土ごと鍬で削ぎ数日間乾燥させる。乾燥したトウモロコシの茎の束をツェケラで包みマウンドの土台とする。削いだ根株の上部をマウンドの内側にして、さらに細かい土をかぶせて高さ80cm程のマウンドに仕上げる。9m^2の草地から3m^2の円形マウンドが1つできる。風上の点火口から着火し、内部を蒸し焼きにする。2〜3日後にマウンド高は半減し、播種時までに高さ約25cmに均す。収穫後は2年間放置し、草原植生の回復を待つ。 この方法で火入れ試験を行なった。マウンド内部では100℃以上の状態が2日間続いた。火入れ後の土壌は、概ねpH値とEC値が上昇した。農民は、本農法について、無施肥で収穫できる点を評価していたが、本試験から、灰生成による塩基性養分の増加、長時間の高温による土壌消毒と雑草種子の死滅が、重要な効果であると考えられた。また、本農法は、サバンナ草原の延焼や煙害を抑える農法としても有効であると考えられた。
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Research Products
(1 results)