2002 Fiscal Year Annual Research Report
運動ストレスによる免疫系の活性化と代謝変動におけるプロラクチンの役割
Project/Area Number |
14770024
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中井 直也 三重大学, 医学部, 助手 (90324508)
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Keywords | プロラクチン / 運動ストレス / ノックアウトマウス / マクロファージ / 走化性 |
Research Abstract |
プロラクチンノックアウトマウスの繁殖 プロラクチンノックアウトマウスは不妊(排卵、受精は正常であるが、受精卵の着床に異常が起こる)であるため、繁殖にはプロラクチン遺伝子がヘテロで欠損している雌とホモで欠損している雄を交配させ作製した。各マウスの遺伝子型については、生後4週齢時に麻酔下で尾部を約0.5cm採取し、DNAを抽出してPCR法により解析した。遺伝子診断により、プロラクチン遺伝子のヘテロ欠損マウス、ホモ欠損(ノックアウト)マウスの2群に分け、実験対象とした。ヘテロ欠損マウスでは、血中プロラクチン濃度および活性は野生型マウスと同等に保たれていた。 水泳運動によるマクロファージ走化性の亢進 先行研究より、運動ストレスは血中プロラクチン濃度の上昇を介して、腹腔内マクロファージの走化性を高めることが報告されている。本研究では水泳運動をマウスに負荷し、その効果を検討した。その結果、20分間の水泳運動は、ヘテロ欠損マウスおよびホモ欠損マウスの腹腔内マクロファージの走化性を同程度亢進させた。また、非運動群のマクロファージ走化性も、ヘテロ欠損マウスおよびホモ欠損マウス間に有意な差は認められなかった。以上の結果より、プロラクチンノックアウトマウスにおける腹腔内マクロファージの走化性亢進は、プロラクチン以外の因子によって補償されていると考えられた。しかしながら、プロラクチン受容体は全身の組織に存在しており、運動により上昇するプロラクチンが生体に何らかの作用を発揮していると推察される。来年度は、代謝機能におけるプロラクチンの作用を検討する。
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