2003 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルの抑制因子ICATを利用した新規Wnt標的遺伝子の同定
Project/Area Number |
14770042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 勉 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (30302798)
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Keywords | Wnt / シグナル伝達 / ICAT / TGF-β / BAMBI / 癌 |
Research Abstract |
私たちが独自に同定したWntシグナル抑制因子ICATの作用を利用して、新たなWnt標的遺伝子の同定を試み、以下のような成果を得た。 1)Wntシグナル伝達経路が恒常的に活性化されているヒト大腸癌細胞株SW48に、アデノウイルス発現系を用いてICATを導入した後、cDNAサブトラクションを行うことによって、ICATによって発現が減少する遺伝子を単離した。その結果、新規Wnt標的遺伝子の候補として、TGF-βシグナル抑制因子BAMBIを同定することに成功した。実際、RNAレベル・タンパク質レベルともに、BAMBIの発現はICATによって抑制されることを確認した。 2)BAMBIの発現は活性化型β-Catenin(Wntシグナルの活性化因子)によって誘導され、逆にTCF-4(Whtシグナルの活性化因子)のドミナントネガティブ変異体によって抑制された。 3)BAMBIの開始コドンを含む約7kbのゲノムDNA断片を単離した。この断片中には8か所のTCF結合配列が存在していた。このゲノムDNA断片の欠失変異体および点突然変異体を用いたルシフェラーゼアッセイおよびゲルシフトアッセイを行った。その結果イントロン1にTCF-4が直接結合し、β-Catenin依存性の転写活性化を増強することを見出した。したがって、BAMBIはWntシグナルの直接の標的遺伝子であることが示された。 4)ヒト癌におけるBABMBIの発現を解析した。その結果、ヒト大腸癌の臨床検体の72%、ヒト肝癌の臨床検体の60%の症例で、正常組織と比較してBAMBIの発現が顕著に亢進していることを見出した。このことから、標的遺伝子BAMBIの発現が異常に亢進することにより、TGF-β依存性の増殖抑制機構が破綻することが示唆された。これは、Wntシグナルの異常な活性化による癌化の新たなメカニズムである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sekiya T: "Identification of BMP and activin membrane-bound inhibitor (BAMBI), an inhibitor of transforming growth factor-β signaling, as a target of the β-catenin pathway in colorectal tumor cells."Journal of Biological Chemistry. 279・8. 6840-6846 (2004)
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[Publications] Koyama T: "Mutation and expression of the β-catenin-interacting protein ICAT in human colorectal tumors."Japanese Journal of Clinical Oncology. 32・9. 358-362 (2002)
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[Publications] Sekiya T: "Overexpression of Icat induces G_2 arrest and cell death in tumor cell mutants for adenomatous polyposis coli, β-catenin, or Axin."Cancer Research. 62・11. 3322-3326 (2002)