2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770064
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿部 義人 九州大学, 医学研究院, 助手 (60315091)
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Keywords | 膜タンパク質 / 結晶解析 / 化学修飾 / バンド3タンパク質 / 質量分析計 |
Research Abstract |
最近のゲノムプロジェクトの結果は、真核生物においてはその進化の度合いが進むにつれて細胞膜を経由するトランスポートに関連するタンパク質が増加していることを示した。これは高度な生命を維持するためにはトランスポーターが必要であることを示している。band3タンパク質は真核生物においてのみ保存されているアニオントランスポーターであり、主な機能として赤血球膜上では外の塩素イオンと内の炭酸イオンの交換を行っており、生物の酸素の運搬に関連している。また、幅広い特異性を持って陰イオンの交換を行い、生物のあらゆる器官にそのホモログが存在している。これらのアニオントランスポーターの機能はこのband3蛋白質の膜貫通ドメインがイオン分子を認識することによるダイナミックな構造変化が関わっており、band3分子の構造がその機能に深くかかわっていることを示している。本研究の目的はBand3の研究を基盤としたポリトピック型アニオントランスポーターの構造またそれに伴った機能の解明である。 このような目的をふまえて、今期間内で我々は、質量分析計とHPLCとの併用により、高感度にかつ定量的に赤血球膜タンパク質の膜内ドメインのトリプシン分解ペプチドを検出できる方法を開発した(投稿中)。また、有機溶媒による抽出法により、赤血球膜タンパク質の存在状態を簡便かつ迅速に検出する方法を開発した(投稿中)。さらにこれらの方法といくつかの化学修飾を組み合わせ、膜蛋白質band3の活性発現に重要な部位の検出を行った(投稿準備中)。また我々は原子レベルでの構造解析を目指し、Band3蛋白質の精製・結晶化を行い、現在約20Åの解像度を持つ結晶を得ている。今後さらに高解像度の構造解析を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ohkuri T, Ueda T, Abe Y, Hamasaki N, Imoto T.: "Depression of aggregation in the folding process of reduced mutant lysozyme by ligand binding to its denatured structures"Biopolymers. 64. 106-114 (2002)
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[Publications] H Kuma, Y Abe, D Askin, L J.Bruce, T Hamasaki, M J.A.Tanner, N Hamasaki.: "Molecular Basis and Functional Consequences of the Dominant Effects of the Mutant Band 3 on the Structure of Normal Band 3 in Southeast Asian Ovatocytosis"Biochemistry. 41. 3311-3320 (2002)
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[Publications] N Hamasaki, Y Abe, M J.A.Tanner.: "Flexible Regions within the Membrane-Embedded Portions of Polytopic Membrane proteins"Biochemistry. 41. 3852-3854 (2002)
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[Publications] Takamatsu C, Umeda S, Obsato T, Ohno T, Abe Y, Fukuoh A, Shinagawa H, Hamasaki N: "Regulation of mitochondrial D-loops by transcription factor A and single-stranded DNA-binding protein"EMBO Rep.. 3. 451-456 (2002)