2002 Fiscal Year Annual Research Report
GISTの発生、悪性化およびカハール細胞の分化・機能に関与する遺伝子の同定
Project/Area Number |
14770081
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
櫻井 信司 自治医科大学, 医学部, 講師 (00285769)
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Keywords | GIST / GANT / カハールの介在細胞 / c-kit / SCF |
Research Abstract |
近年、gastrointestinal stromal tumor (GIST)は、ほとんど症例にKITの発現、c-kit遺伝子の変異を伴う事が報告され、カハールの介在細胞(ICC)由来ないし分化を示す腫瘍、との疾患概念が定着されつつあるが、典型的GISTとは異なる組織像、免疫組織学的形質を示す腫瘍も一部に見られ、いまだ、異なる腫瘍が混在している可能性がある。今回、典型的GISTとは異なる形質を示した腫瘍二症例について検索し、典型的GISTとの比較を行った。電顕的に細胞突起の複雑な指状鉗合と神経内分泌顆粒が見られ、免疫組織学的にS100陽性を示し、悪性のgastrointestinal autonomic nerve tumor (GANT)について検索したところ、GISTと同様、KIT, SMemb, nestinの発現を認め、c-kit遺伝子exon 11にinflame deletionを認めた。しかし、GISTで全例m-RNAの発現が見られるc-kit ligandのstem cell factorは、GANTでは発現していなかった。また、vimentin, nestinの発現が見られるものの、平滑筋系および神経系マーカー陰性で、KIT, CD34にも陰性を示す別の腫瘍では何れのexonにもc-kit遺伝子の変異は見られず、PDGFR-αのcodon 842にアスパラギン酸からバリンへのmissense point mutationを認めた。 以上から、やはりGISTは単一の腫瘍ではなく、異なる発癌のメカニズムにより発生する腫瘍が一部に混在しているものと思われる。今後、これらの症例をさらに集積し、悪性度、c-kitインヒビターに対する反応、さらにはDNAチップによる網羅的な遺伝子解析を行い、GISTの多様性を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Shinji Sakurai: "Expression of KIT, CD34 and SMemb in Gastrointestinal tumors, ICCs and ICC-like cells in the Gastrointestinal tract and omentum"Gann monograph on cancer research. (2003)