2003 Fiscal Year Annual Research Report
GISTの発生、悪性化およびカハール細胞の分化・機能に関与する遺伝子の同定
Project/Area Number |
14770081
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
櫻井 信司 自治医科大学, 医学部, 講師 (00285769)
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Keywords | GIST / c-kit / PDGFRA / myxoid epithelioid / 肥満細胞 |
Research Abstract |
Gastrointestinal stromal tumors (GISTs)の約90%にc-kit遺伝子産物のKITレセプターが発現し、その大部分にc-kit遺伝子の機能獲得性突然変異が見られることより、c-kitがGISTsの発生に重要な役割を果たしていると考えられている。昨年、チロシンキナーゼインヒビターであるImatinib mesylateが本邦でも保険適応となり、転移、再発GISTsに著効することが報告されている。よって現在では、KITの発現、c-kit遺伝子の変異の存在がGISTsの定義となってきている。しかし、10%程度のGISTsでは、KITの発現が弱陽性ないし陰性であり、このような症例をGISTsと診断してよいのか、Imatinib mesylateによる治療の適応となりうるのかどうか、問題である。そこで、KIT陰性ないし弱陽性を示すGISTs27症例について検討をおこなったところ、何れの症例も、少なくとも一部には類上皮様を示す腫瘍細胞が見られた。さらに、組織学的にこれら類上皮様細胞は、腫瘍細胞が密に配列しシート状に増生するパターンと、粘液腫様の間質を伴い、looseに配列するパターンが存在することを見いだした。後者のパターを示すものをmyxoid epithelioid GISTsとして亜分類したところ、27症例中18症例がこのパターンを示した。さらにmyxoid epithelioid GISTsの15例(83.3%)にc-kit遺伝子ではなく、PDGFRA遺伝子exon12,18の変異があることを見いだし、また、通常のKIT陽性GISTでは見られない肥満細胞の腫瘍内浸潤が15症例(83.3%)に観察された。Myxoid epithelioid GISTsとPDGFRA遺伝子変異には高い相関関係が存在し、このタイプのGISTsの発生進展に関与していると考えられる。
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