2002 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルスとの混合感染で発症する劇症型A群レンサ球菌感染症の病因解析
Project/Area Number |
14770096
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 成史 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50311759)
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Keywords | A群レンサ球菌 / インフルエンザウイルス / 連続感染 / 劇症型A群レンサ球菌感染症 |
Research Abstract |
BALB/cマウス(メス,8週齢)にIAVを100フォーカス形成単位(FFU)を,その2日後にGASを10^7コロニー形成単位(CFU)を各々経鼻的に感染し,感染後14日間でのマウスの生死を観察した.その結果,IAV100 FFUのみあるいはGAS 10^7CFUのみ経鼻感染されたマウスは全て生存したが,IAVを100FFU経鼻感染しその2日後にGASを10^7CFU経鼻感染させることにより,90%以上のマウスが感染後1週間以内に死亡した.さらに連続感染によって死亡したマウスの約10%に壊死性筋膜炎を発症した.壊死部分の病理組織学的観察を行ったところ,壊死部分の筋組織,結合組織,血管内からGASが検出された.連続感染後のマウス臓器中のGASの検出の有無を検討したところ,感染24時間後に肺にGASの検出を認め,時間経過とともに肝臓,脾臓,腎臓にもGASが検出された.さらに連続感染によってIAV感染肺胞上皮細胞へGAS菌体が局在することを見出した.しかし,この現象は,GAS感染感染直前に抗IAV-ヘマグルチニン(HA)抗体を投与することで,抑制された.さらに抗IAV-HA抗体の投与によって連続感染後のマウス生存率が20%から75%まで上昇した.以上の結果は,IAVとGASとの連続感染によって,経鼻感染による壊死性筋膜炎を伴う劇症型GAS感染症のマウスモデルを確立したことを示すとともに,このモデルでの劇症型GAS感染症発症にIAV感染肺胞上皮細胞へのGAS付着増強が関与することを示唆するものである.
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Research Products
(1 results)