2002 Fiscal Year Annual Research Report
血流型トリパノソーマにおけるGPI生合成能欠失による致死性の解析
Project/Area Number |
14770108
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永宗 喜三郎 大阪大学, 微生物病研究所, 文部科学教官助手 (90314418)
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Keywords | トリパノソーマ / GPIアンカー / GPIトランスアミダーゼ / トランスシアリダーゼ / シアル酸 |
Research Abstract |
申請者らは、GPIアンカーをタンパク質に結合させる酵素であるGPIトランスアミダーゼのサブユニットの1つTbGPI8をクローニングし、更にその遺伝子をノックアウトしたプロサイクリック型トリパノソーマを作製した。このノックアウト変異株は以前作成したGPI生合成の別のステップに関与するTbGPI10のノックアウト変異株と同様に、付着細胞用の表面処理をした培養器具の内壁に強く密着し細長く伸びた形態を示し、増殖が著しく阻害されたが、TbGPI10の変異株と異なり死滅することはなかった。また、無処理の培養器具内での増殖能もTbGPI10の変異株と、その変異をプラスミドにより相補したクローンの中間的な値を示し、TbGPI8のノックアウト変異株はTbGPI10ノックアウト変異株と比較してマイルドな表現型を示した。 そこでこれらの変異株のツェツェバエ内での増殖能を検討した結果、in vitroでの結果とは異なり、TbGPI10ノックアウト変異株は野生株の約半分の感染性を保持していたのに対し、TbGPI8ノックアウト変異株はツェツェバエ内での増殖能がほとんど失われていた。この現象を説明するために、GPIアンカー型タンパク質の一つであるトランスシアリダーゼに着目してその挙動を解析した。TbGPI8ノックアウト変異株でトランスシアリダーゼ活性はほとんど消失してしまっていたのに対しTbGPI10ノックアウト変異株では培地中に分泌される形で検出された。更にこれらのトリパノソーマの表面に存在するシアル酸量を定量した結果、TbGPI10ノックアウト変異株は野生株の約半分、TbGPI8ノックアウト変異株では検出限界以下と、トランスシアリダーゼ活性とよく相関する結果が得られた。現在トリパノソーマ表面へのシアル酸の付加とツェツェバエへの感染性の関係を検討中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Ohishi, K.Nagamune, Y.Maeda, T.Kinoshita: "Two subunits of GPI transamidase GPI8 and PIG-T form a functionally important intermolecular disulfide bridge"J. Biol. Chem.. (in press).