2002 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌O157の病原遺伝子発現における外来性tRNA遺伝子の役割
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14770115
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒川 顕 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (20343246)
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Keywords | CodonViewer / コドン使用頻度 / ゲノム |
Research Abstract |
現在までに100種を超える細菌のゲノム全配列が報告されている.これらすでに報告されているゲノム全配列を用いて,種特異的な遺伝子と外来性と考えられる菌株特異的遺伝子のゲノムレベルでの進化を,バイオインフォマティクスから得られた予測をもとに分子生物学的な検証を試みた.種特異的な遺伝子を検索するソフトウェアCodonViewerを開発した.本ソフトウェアは,ゲノム全配列からコドン使用頻度をゲノムレベルで視覚的に表現するソフトウェアで,UNIXだけでなく,生物学研究者に広く使われているMacintosh, Windows上でも動作可能である.本ソフトウェアを用いることで,コドン使用頻度をゲノムレベルで遺伝子単位で表示することが可能となり,コドン使用頻度が偏っている領域を簡単に特定することが可能となっている.また,本ソフトウェアにはコドン使用頻度による分類だけでなく,非線形主成分分析法,ノンパラメトリック回帰分析など複数の手法による特異的遺伝子の抽出が可能となっている. 本ソフトウェアを用いて,腸炎ビブリオのゲノムから種特異的な遺伝子の抽出を試みた.その結果,腸炎ビブリオが有する病原性遺伝子群である3型分泌装置や,ビブリオ属に特徴的なSuper-integron領域は,他のゲノムの領域と比較してコドン使用頻度が大きく異なっていた.これらの領域のコドン使用頻度を他の遺伝子と比較したところ,大腸菌O157の病原性遺伝子領域やファージの領域と同様であることが明らかとなった.このことは,これら外来遺伝子の供給源が同じである事を示唆している.現在は大腸菌O157のゲノム全配列から本ソフトウェアにより特異的遺伝子を抽出し,それら遺伝子の翻訳効率を実験的に解析している.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Makoto Ohnishi, Jun Terajima, Ken Kurokawa, et al.: "Genomic diversit of enterohemorrhagic Escherichia coli O157 revealed by whole genome PCR scanning"Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.. 99,26. 17043-17048 (2002)
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[Publications] Kozo Makino, Kenshiro Oshima, Ken Kurokawa, et al.: "Genome sequence of Vibrio parahaemolyticus : a pathogenic mechanism diestinct from that of V. cholerae"Lancet. 361. 743-749 (2003)
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[Publications] 中村保一, 礒合敦, 石川淳, 黒川顕ほか: "バイオデータベースとウェブツールの手とり足とり活用法"羊土社. 208 (2002)