2002 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陰性病原菌のタイプ蒼エフェクターと宿主側因子の相互作用の解析
Project/Area Number |
14770123
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
桑江 朝臣 北里大学, 北里生命科学研究所, 助手 (60337996)
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Keywords | 細菌病原性 / タイプIIIエフェクター / ボルデテラ |
Research Abstract |
本研究ではグラム陰性細菌の中でタイプIIIエフェクターについてほとんど明らかにされていないボルデテラ属細菌について以下の実験をおこなった。気管支敗血症菌Bordetella bronchisepticaのタイプIII分泌能欠損変異株を作製し、野生株とタイプIII分泌能欠損変異株の培養上清から分泌タンパク質を回収した。分泌タンパク質をSDS-PAGEにより展開したところ、40kDaの位置に野生株特異的なバンドが認められた。このバンドを切り出しアミノ酸配列を解析したところ、bopB遺伝子産物のアミノ末端の18残基と同一な配列を有していた。bopB遺伝子欠失変異株を作製し、この変異株の培養上清中に分泌されるタンパク質をSDS-PAGEによって解析したところ、野生株に認められた40kDaのバンドが消失していた。また野生株、bopB遺伝子欠失変異株およびタイプIII分泌能欠損変異株のそれぞれの培養上清から回収したタンパク質をSDS-PAGEにより展開し、本研究で作製した抗BopB抗体を用いたウエスタンブロットをおこなったところ、野生株の培養上清中にはBopBのシグナルが確認できたが、bopB遺伝子欠失変異株およびタイプIII分泌能欠損変異株の培養上清中にはBopBのシグナルが認められなかった。またBopB欠損株をラット肺上皮由来のL2細胞に感染させた場合は、野生株を感染させた場合に認められる細胞死がほとんど認められなかった。野生株をHeLa細胞に感染させた場合にBopBが宿主細胞側に移行していることをdigitonin fractionation assayと呼ばれる手法を用いて明らかにした。BopBは気管支敗血症菌だけではなく、百日咳菌にも発現していることをウエスタンブロットにより確認した。今年度の本研究ではBopBがタイプIII分泌装置依存的に分泌されること、分泌されたBopBが宿主細胞側に移行すること、ボルデテラ感染により誘導される細胞死に必須であることを明らかにし、現在論文を準備中である。
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