2003 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍免疫療法をめざしたDNAマイクロアレイ、SEREX法による癌特異抗原の同定
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14770142
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中面 哲也 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (30343354)
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Keywords | SEREX法 / cDNAマイクロアレイ / 腫瘍免疫 / CTL / エピトープペプチド / Th細胞 / 腫瘍マーカー / 癌 |
Research Abstract |
本研究はSEREX法あるいはcDNAマイクロアレイ解析データを用いて、腫瘍免疫において最も有効なターゲットと考えられる癌特異的に高発現している抗原を選び出し、それらの抗原についてヒト細胞傷害性T細胞(CTL)およびヘルパーT(Th)細胞に腫瘍拒絶を誘導するペプチドを同定し、さらにマウスを用いて腫瘍抗原による抗腫瘍免疫応答のin vivo誘導効果について検討することを目的とする。我々がSEREX法で同定したHSP105がヒト大腸癌と膵癌細胞のみならず、多くの腫瘍で高発現していることを発見した。また、HSP105を標的としたDNAワクチンの接種により、マウスに大腸癌細胞株Colon26の拒絶が誘導されることを示していたが、さらに、HSP105に由来するHLA-A24およびHLA-A2拘束性のCTLエピトープペプチドを複数同定できた。また、HSP105蛋白を用いて、大腸癌患者のPBMCより複数のHSP105特異的Th細胞株を誘導できた。また、我々がcDNAマイクロアレイ解析データより同定した肝細胞癌,(HCC)特異的抗原Glypican-3(GPC3)の腫瘍マーカーとしての有用性は既に示していたが、今回、ヒトHCCの免疫療法のマウスin vivoモデルをBALB/cマウスにおいて構築し、GPC3を標的とした免疫療法の可能性を検討した。BALB/cマウスが発現するK^d拘束性のCTLエピトープペプチドを同定し、そのペプチドにより誘導されたGPC3特異的CTLの養子免疫療法の治療効果を検討した結果、腫瘍縮小効果を認めた。また、ヒトHCC患者末梢血単核球(PBMC)より誘導したGPC3特異的CTL株を、GPC3高発現ヒトHCC細胞株を移植したヌードマウスに移入して、その治療効果を検討したところ、著明な抗腫瘍効果を認めた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nakatsura, T., et al.: "Glypican-3, overexpressed specifically in human hepatocellular carcinoma, is a novel tumor market"Biochem.Biophys.Res.Comm.. 306. 16-25 (2003)
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[Publications] Kai, M., et al.: "Heat shock protein 105 is overexpressed in a variety of human tumors."Oncology reports. 10. 1777-1782 (2003)
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[Publications] Nakatsura, T., et al.: "Identification of cancer antigens by SEREX."Int.Congress Series. 1255. 343-349 (2003)
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[Publications] Azuma, K., et al.: "Mutated p53 Gene Encodes a Non-Mutated Epitope Recognized by HLA-B^*4601-restricted ant Tumor-reactive CTLs at Tumor Site"Cancer Res.. 63. 854-858 (2003)
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[Publications] 中面 哲也: "癌とHLA-癌細胞の排除におけるHLAの役割"医学のあゆみ. 207・8. 543-548 (2003)
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[Publications] 中面哲也, 西村泰治: "腫瘍抗原ペプチドを駆使した癌免疫療法の新展開"実験医学(増刊:免疫研究のフロンティア). 22・5. 215-220 (2004)
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[Publications] 中面哲也, 西村泰治: "CDNAマイクロアレイ解析による腫瘍癌特異抗原の探索"臨床免疫. 印刷中. (2004)