2002 Fiscal Year Annual Research Report
アセトアルデヒド脱水素酵素欠損マウスを用いた行動・神経毒性の遺伝子発現変化の解析
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14770154
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
一瀬 豊日 産業医科大学, 医学部, 助手 (80341494)
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Keywords | アセトアルデヒド / エタノール / アルデヒド脱水素酵素 / ノックアウトマウス / アルコール嗜好性 |
Research Abstract |
(1)エタノール自由選択摂取試験 アルデヒド脱水素酵素2遺伝子ノックアウトマウス(Aldh2-/-マウス)および野生型マウス(Aldh2+/+マウス)各15匹を用い、3%エタノールおよび水の自由選択摂取試験を行った。Aldh2+/+マウスの1日エタノール摂取量の8日間平均は1.00mL、Aldh2-/-マウスは0.32mLであり、Aldh2-/-マウスのエタノール摂取量はAldh2+/+マウスに比べ有意に少なかった。計測期間を通じて体重、摂食量、飲水量に有意な差を認めなかった。グルコース溶液(甘み)およびキニーネ溶液(苦味)での自由選択摂取試験結果において、Aldh2+/+マウスおよびAldh2-/-マウスの摂取量に差は認められなかった。したがって、エタノール選択は味覚によるものではなくエタノール選択によるものと考えられた。 (2)エタノール自由選択摂取後の臓器中エタノールおよびアセトアルデヒド濃度測定 Aldh2-/-マウスおよびAldh2+/+マウス各7匹を用い、3%エタノールおよび水の自由選択摂取試験を1日間行い、摂取開始24時間後の血中、脳および肝臓中のエタノールおよびアセトアルデヒド濃度をヘッドスペースGC-MS法で測定した。 Aldh2-/-マウスおよびAldh2+/+マウスは、エタノール摂取量が異なるにもかかわらず、血液、肝臓、および脳内アセトアルデヒド濃度が同程度を示した。臓器中エタノール濃度は検出限界値以下であった。 上記実験(1)(2)をまとめ学術雑誌上(項目11参照)に発表した。 (3)エタノール強制経口投与後の臓器中エタノールおよびアセトアルデヒド濃度測定 Aldh2-/-マウスおよびAldh2+/+マウスに5.0g/kg体中の20%エタノールを経口投与し、0,1,3,6,12,24時間後の血液、肝臓、脳中のエタノールおよびアセトアルデヒド濃度を各群7匹について測定した。エタノール濃度に大きな差は認められなかったが、Aldh2-/-マウスの臓器中アセトアルデヒド濃度はAUCで血液において24倍の差を示した。(現在学術誌投稿準備中) 本年度はAldh2-/-マウスの行動学的特長、In vivoにおけるアルデヒド代謝遅延を明らかにした。ヒトALDH2活性不全と同様の行動、代謝遅延を示すことから当マウスはモデル動物として有用であると考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Isse T., Oyama T., Kitagawa K., Matsuno K., Matsumoto A., Yoshida A., Nakayama N., Nakayama K., Kawamoto T.: "Diminished alcohol preference in transgenic mice lacking aldehyde dehydrogenase activity"Pharmacogenetics. 12・8. 621-626 (2002)