2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化社会における救急医療需要に関する医療経済学的分析
Project/Area Number |
14770175
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大重 賢治 横浜市立大学, 医学部, 助手 (50343398)
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Keywords | 救急医療需要 / 需要関数 / 救急医療システム / 高齢化社会 / 医療経済学 / 計量経済学 |
Research Abstract |
本研究では、経済学の分野で需要関数をもとめるのに用いられる計量経済学の手法を用い、救急医療の需要関数を求めている。また、現在の救急医療の需要から、将来の需要を予測し、高齢化社会における地域医療体制について検討している。 横浜市を対象に救急医療需要に影響を与えている可能性のある地域的要因について分析した結果、地域の高齢化率が救急医療需要に大きく影響を与えていることが明らかになった。救急搬送患者数は、高齢化の進展とともに、今後急激に増加し、2030年には現在の2倍の数になることが予測された。また、人口の高齢化は循環器疾患の罹患者数も増加させることにより、地域の循環器救急医療体制にも大きな影響を与えると考えられた。 救急患者の急激な増加は、地域における救急医療体制に大きな影響を与える可能性がある。信頼できる地域救急医療システムの構築は、市民が安心して生活を送るためには欠くことのできないものであるが、救急の現場において救急医療従事者は必ずしも充足されているとは言えず、ぎりぎりの状態で対応しているのが現状である。地域救急医療システムの整備は、救急医療の需要が増す中で、今後、重要な地域保健的課題になっていくと思われる。高齢化杜会に対応できる効率的な地域救急医療システムの構築を早急に取り組む必要がある。 これまでの研究成果を踏まえて、今後は、本研究をさらに進め、救急隊や救急医療機関の効率的な配置について小地域のデータを用いた分析を行なう予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大重 賢治 他: "循環器疾患による救急搬送の増加"日本循環器病予防学会誌. 第38巻1号. 26-33 (2003)
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[Publications] 大重 賢治 他: "費用対効果からみた医療費抑制策"日本公衆衛生雑誌. 第49巻7号. 613-619 (2002)
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[Publications] 水嶋春朔, 大重賢治, 他: "横浜市における地理情報システム(GIS)を用いた循環器疾患死亡率に関する小区域保健統計解析"厚生の指標. 第49巻6号. 8-13 (2002)
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[Publications] 杤久保修, 大重賢治: "特集「モーニングサージとは」"Heart View. 第6巻2号. 232-240 (2002)