2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770181
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
一條 優華 杏林大学, 保健学部, 助手 (80232403)
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Keywords | 味覚 / 甘味識別閾値 / 体格 / 肥満 / 痩せ / マウス |
Research Abstract |
昨年度の研究で、C57BLマウスを、体重と甘味識別閾値が均等になるように3群に分け、異なる飼料・給餌方法により体重差を生じさせて甘味識別閾値を調べたところ、コントロール群と比べて、痩せ群は敏感になり、肥満群は鈍感になったことを報告した。本年度は、昨年度と同じ飼育方法で3群のマウスを飼育し、味覚検査を行わず、ショ糖摂取がない状態で解剖を行った。痩せ群の血清中総コレステロールおよび中性脂肪濃度は、他の2群よりも低値を、血清中遊離脂肪酸濃度は、他の2群よりも高値を示した。一方、肥満群の血清中グルコース、インスリン濃度、およびGPT活性は、コントロール群との間に有意差が認められた。さらに、昨年度のマウスについて、飼育を継続し、痩せ群と肥満群の飼料・給餌方法を逆転させる実験を行った。痩せ群は、肥満経験の有無に関わらず、コントロール群より甘味識別閾値が敏感になったが、痩せを経験した肥満群は、経験していない肥満群とは異なり、コントロール群よりも甘味識別閾値が敏感になった。血清生化学検査の結果、肥満後痩せ群は上記の肥満経験のない痩せ群と同様の有意差が認められたが、痩せ後肥満群は上記の痩せ経験のない肥満群とは異なり、コントロール群との間の有意差は認められなかった。以上の結果は、肥満に伴う糖・脂質代謝の変化と甘味味覚の鈍化との間に関係がある可能性を示唆している。次に、遺伝的に一定の多様性を持っているICR系マウスに同じ飼料を自由摂取させ、太りやすさと甘味味覚との関係を検討する実験を開始した。3週齢で搬入後、現在17週齢時点で、体重は最大64gから最小35gと大きく異なっている。これらの動物の味覚検査・生化学検査を行った後、生れつき甘味識別閾値が異なることが食物摂取の違いを介して体格に変化を引き起こすか否かを検討するため、甘味とエネルギー組成が異なる飼料を選択摂取させる実験を開始する。
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