2003 Fiscal Year Annual Research Report
全身性自己免疫疾患の病態形成におけるCD4^+CD25^+制御性T細胞の役割の検討
Project/Area Number |
14770208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川畑 仁人 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70334406)
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Keywords | 制御性T細胞 / 免疫学的寛容 / 胸腺 / 自己反応性T細胞 / 自己免疫 |
Research Abstract |
CD4+CD25+制御性T細胞の全身性自己免疫疾患における役割を検討するため、ニワトリ卵白アルブミン(OVA)を全身性に核内に発現するトランスジェニックマウス(LdnOVA)とOVA特異的T細胞レセプタートランスジェニックマウス(DO11.10)を交配して得られたダブルトランスジェニック(DBL-Tg)マウスを作成し解析した(J. Immunol 2002;168:4399)。DBL-TgマウスではOVA特異的T細胞受容体(TCR)発現T細胞が核内自己抗原反応性T細胞となるが、DBL-Tgマウスではこの核内自己反応性T細胞がCD4+CD25+制御性T細胞となっていた。更に、クロノタイプ低発現の細胞ではTdR遺伝子再構成が生じ他のTCRが発現していたことも明らかとなった。従って、核内自己抗原反応性胸腺細胞は、(1)負の選択、(2)正の選択,をうけCD4+CD25+制御性T細胞に分化、(3)TCR遺伝子再構成が生じ、おそらく非自己反応性TCRとなり正の選択をうけCD4+CD25-T細胞に分化する経路があり、胸腺における核内抗原に対する自己免疫応答を回避する複数の機序の存在が明らかになった。これらの機序により重篤な臓器症状の出現は抑制されていると考えられた。また、胸腺だけではなく末梢でも樹状細胞が核内自己抗原を持続的に提示し自己反応性T細胞に免疫学的寛容を誘導していることも明らかにした(J. Immunol. 2002;168:1103)。一方、DBL-Tgマウスでは核内自己抗原反応性CD4+CD25+制御性T細胞が誕生しても抗OVA自己抗体の産生は抑制されていないことから、CD4+CD25+制御性T細胞は全身性自己免疫応答の制御において、T細胞とB細胞に対して異なる役割を担っている可能性が示唆され、今後の制御性T細胞を用いた治療開発の際に留意すべき点と考えられた。
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