2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチ滑膜の遺伝子発現制御による治療の基礎的検討
Project/Area Number |
14770209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 晃弘 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90261974)
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Keywords | 関節リウマチ / 滑膜 / FRP / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
我々は関節リウマチ(RA)の滑膜組織において、differential display法によりfollistatin related protein(FRP)の遺伝子発現が亢進していることを見いだした。FRPはRAの自己抗原の一つとして報告されている蛋白であり、follistatinとの相同性から抑制型の機能が推測された。 1.RA11例と変形性関節症5例の滑膜組織におけるFRPの発現をreal-time PCRにて再検討した。結果、RAにおいて平均17倍のFRP発現亢進が確認された。 2.FRP発現ベクターを作成した。RA-FLS由来の不死化細胞株E11を用いてFRPを強制発現させ、細胞増殖を定量した。結果、得られたFRP発現クローン2個についてのRT-PCRではFRP発現が、それぞれ1.5倍および2.6倍に増加しており、細胞増殖は0.83倍、0.67倍に低下していた。RA-FLSにおいて、FRPは発現量依存性に細胞増殖を抑制すると考えられた。RA関節において、FRPは滑膜の増殖抑制作用を持ち、RAの治療応用の可能性が示唆された。 3.FRP遺伝子の多型とRAの発症、病態との関連の有無を検討した。FRP遺伝子の全翻訳領域と、プロモーター領域約1.6kbにわたる変異スクリーニングでは、プロモーター領域、翻訳領域、エクソンで計16箇所の変異が検出された。多型に該当する変異で、翻訳領域の3箇所と非翻訳領域の4箇所について、RA 224例、健常対照者220例の遺伝子型を決定した。しかし統計的にRAとの有意な関連は無かった。RA滑膜における顕著なFRP産生亢進は、FRP遺伝子自身の多型によるものではなく、他の因子によりFRPの転写が制御されていることが示唆された。
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