2002 Fiscal Year Annual Research Report
エルシニア感染に対する病原性プラスミドの役割と宿主免疫応答について
Project/Area Number |
14770223
|
Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
竹内 修 社団法人北里研究所, 北里研究所病院, 研究員 (00249997)
|
Keywords | Yersinia enterocolitica / virulence plasmid / TH1 / Gamma interferon (IFN-γ) / protective immunity |
Research Abstract |
Yersinia enterocolitica(以下エルシニア)は病原性を規定する70kbの病原性プラスミドを保有する。この病原性プラスミド保有の有無が、感染後における宿主防御免疫の誘導にどの様な違いとして現れるかを明らかにするため、病原性プラスミド保有株(P+株)とプラスミドを欠損させた非病原性株(P-株)を用いてC57BL/6マウスに生菌免疫し、菌が完全に排除された14日後に再度致死量による攻撃感染を行った。そして、攻撃感染2日後の肝脾内生菌数より宿主の防御免疫機構について検討したところ、P+株を免疫した場合に強く防御能が誘導されることが明らかとなった。このP+株免疫による防御免疫の誘導が、抗原特異的なI型helper T細胞(TH I)によるものかどうかを検討するため、エルシニアを生菌免疫したマウスの脾細胞を加熱死菌抗原で刺激して培養上清中のinterferon-γ(IFN-γ)をELISA&ELISPOT assayにて検討したところ、IFN-γの産生細胞と産生量はともにP+株で免疫した場合で強く誘導された。また、各株で免疫したマウスのT細胞を移入した実験においても、P+株で免疫した細胞を移入した場合、致死量のエルシニアP+で感染すると強い防御反応が見られた。しかし、免疫マウスの血清を移入した場合では防御免疫な誘導されなかった。これらの結果より、エルシニアの持つ病原性プラスミドは、その菌の排除の過程でTH1を誘導すると推測された。 今回の我々の研究において、エルシニア感染によって強い細胞性免疫が誘導されることを明らかにすることができた。今後は、病原性プラスミドがコードするいくつかのYoP (Yersinia outermembrane protein)が宿主側の防御免疫の方向性を規定している可能性があるため、ミュータント株を作製し検討する予定である。
|