2003 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患における粘膜内リンパ球の役割-粘膜内リンパ球の上皮に与える影響-
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14770230
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴原 健 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90333484)
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Keywords | 消化管免疫 / 粘膜内リンパ球 |
Research Abstract |
消化管粘膜の免疫機構において、消化管上皮細胞と粘膜内リンパ球とのinteractionは重要な役割を演じていると考えられている。上皮内リンパ球intraepithelial lymphocytes(IEL)の上皮に対する影響を検討するため、我々は、ヒト大腸上皮細胞株T84細胞、HT29-19A細胞、Caco-2細胞と、およびヒト由来IELを用いて以下の実験を行った。上皮細胞とIELを一緒に培養した結果、上皮細胞の表面蛋白であるMHC class I、ICAM-1、integrin β1、CD44の発現が有意に増加した。CD44を除き、これら発現増加は、IFNgammaの中和抗体を加えるえとによって完全に抑制された。また上皮細胞の粘膜バリアの指標である電気的抵抗を測定したところ、抵抗はIELを加えて4時間で顕著に低下した。またこの抵抗の低下は、IFNgammaやTNFalphaの中和抗体でも抑制されなかつた。さらに、上皮細胞とIELを培養すると、上皮細胞からのIL-8、IP-10などの炎症性サイトカインの産生が著明に増加した。IL-8産生はTNFalphaの中和抗体で、IP-10産生はIFNgammaの中和抗体でそれぞれ有意に抑制された。IELの存在下で上皮細胞のCOX-1発現は、変化を認めなかったが、COX-2発堤は有意に増加した。以上の結果より、IEL由来のサイトカインなどの因子が、消化管上皮細胞の粘膜機構に大きな影響を示すことが示唆された。現在は、亜鉛などの微量栄養元素が、IELと上皮の間で惹起された炎症にどう影響するか検討を行っている。
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