2002 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎における糖尿病多発機序の解明:ウイルス蛋白によるインシュリン抵抗性の発生
Project/Area Number |
14770232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新谷 良澄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80261965)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / HCVコア蛋白質 / インシュリン抵抗性 / 糖尿病 |
Research Abstract |
HCVコア遺伝子導入マウスを用いて検討した。対照は正常兄弟マウス・HCVエンベロープ遺伝子導入マウスを用いた。 1.体重・空腹時血糖値・空腹時インシュリン値の測定、2.糖負荷テスト(マウス体重1gあたり、1mgのブドウ糖を腹腔内投与)、3.インシュリン負荷テスト(マウス体重1gあたり、1mUのヒト速効型インシュリンを腹腔内投与)、4.膵の組織学的検討、5.高脂肪食投与後の血糖・インシュリン値の検討を行った。結果として(1)若年マウスにおいて体重・空腹時血糖値はコアマウスと対照マウスとの間で有意差はなかった(p=0.79)が、空腹時インシュリンレベルはコア遺伝子導入マウスで有意に上昇していた(p<0.01)。(2)糖負荷試験において血糖値はコア遺伝子導入マウスで遷延化する傾向がみられ、インシュリン負荷試験では負荷後60分においてコア遺伝子導入マウスで有意に血糖値が高かった(p<0.05)。(3)マウス膵臓の組織学的検討ではコア遺伝子導入マウスと対照マウスのいずれにも炎症所見はみられなかったが、コア遺伝子導入マウスの膵ランゲルハンス島は、対照マウスの約3倍の大きさを示していた。(4)高脂肪食投与後、体重・空腹時血糖値はコアマウスと対照マウスとの間で有意差はなかったが、空腹時インシュリンレベル・基礎インシュリン値はコア遺伝子導入マウスで有意に上昇していた(p<0.01)。インシュリン負荷時のIRS-1,IRS-2については現在検討中である。またIL-6,TNF-α投与時のインシュリン抵抗性の変化についても現在検討しているところである。
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