2003 Fiscal Year Annual Research Report
ホメオボックス遺伝子CDX1,2が胃癌の悪性度に及ぼす影響についての検討
Project/Area Number |
14770234
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
妹尾 浩 京都大学, 医学研究科, 助手 (90335266)
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Keywords | 胃癌 / 腸上皮化生 / ホメオボックス遺伝子 / CDX2 |
Research Abstract |
ホメオボックス遺伝子CDX1,2は,消化管発生の過程で上皮に肛門側の形質を与え,成体ではCDX1,2発現は腸管上皮のマーカーと考えられている.我々はCDX1,2が胃の腸上皮化生や胃癌の分化度・動態に及ぼす影響について検討を加えた. in vivoでは胃でのCDX1発現を検討した既報があるため,まずCDX2に関して実験を行った.胃癌の手術標本を抗CDX2抗体で免疫染色したところ,89%の腸上皮化生粘膜検体に異所性CDX2が発現していた.また胃癌組織では,64%の高分化型胃癌で異所性CDX2が発現しているのに対し,低分化型胃癌ではCDX2が発現していなかった.Ki-67染色で細胞増殖との相関を検討すると,CDX2を発現する胃癌の方が,細胞増殖が乏しい傾向にあった.さらにCDX2を発現する胃癌症例の方が,良好な生命予後を示していた(5年生存率:87対33%). 次にin vitroの解析を行った.CDX2の発現していないヒト低分化型胃癌細胞(MKN43等)にCDX2を遺伝子導入して,非導入クローンとのサブトラクション比較によって,CDX2の下流で機能する因子を検討した.そめ結果,cyclin D1やp21など細胞周期を制御する因子に変動がみられた.in vivoでの結果と併せて,CDX2が細胞周期・増殖の制御を通じて胃癌の進展,予後に影響を与えていることが確認された.またCDX2遺伝子の強制発現によって,細胞分化をもたらす諸因子の発現が上昇しており,現在解析中である.今後,CDX1,2の発現が胃癌の進展に及ぼす影響をさらに検討する予定である. なお,これらの研究を通じて,種々の胃癌,胃隆起性病変において発現が増強するその他の因子の検討も併せて行った.その結果は,裏面のごとく論文発表したことも附記する.
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[Publications] Kanda N, Seno H, et al.: "STAT3 is constitutively activated and supports cell survival in association with survivin expression in gastric cancer cells."Oncogene. (in press). (2004)
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[Publications] Fukuzawa H, Seno H, et al.: "Identification of GM-CSF in Paneth cells using single-cell RT-PCR."Biochem Biophys Res Commun.. 312. 897-902 (2003)
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[Publications] Kawada M, Seno H, et al.: "Cyclooxygenase-2 expression and angiogenesis in gastric hyperplastic polyp-Association with polyp size."Digestion. 67. 20-24 (2003)
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[Publications] Takashi S, Seno H, et al.: "The growth promoting effect of thioredoxin on intestinal epithelial cells."Dig Dis Sci. 48. 379-385 (2003)