2002 Fiscal Year Annual Research Report
下部食道括約部(LES)に発現する新規コラーゲン分子に関する研究
Project/Area Number |
14770237
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
住吉 秀明 大分医科大学, 医学部, 助手 (60343357)
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Keywords | コラーゲン / 遺伝子ノックアウト / 下部食道括約部(LES) / Transdifferentiation / 電気生理学 |
Research Abstract |
1)In situ hybridizationと免疫組織染色による食道筋層のtransdifferentiationのステップの解析。Myogenin, myf5によるin situ hybridizationとskeletal myosin免疫組織染色によりtransdifferentiationの進行を調べた結果、食道の横紋筋分化の様式は上部と下部で違いがみられた。myogeninの発現は胎生13.5日目から始まり、上部食道から下に向かって進行し、生後1週間で食道下端に達した。myf-5の発現は出生後、有意に下がり、食道下端に達する前に消失した。skeletal myosinの免疫染色でも、食道上部は速やかに均一に横紋筋化していたのに対し、下方ではモザイク状にゆっくりと進行した。また上部と下部の筋層の構造にも違いがみられた。XIX型コラーゲンKOマウスは生後14日目であるにも関わらずmyogeninが食道下端まで達しておらず、食道下部の横紋筋分化誘導のステップが阻害されていることが明らかになった。 2)電気生理学的解析。XIX型コラーゲンの発現はLESに限局し、発現パターンは非対称性があった。これはXIX型コラーゲンがLES筋層内の特異的走行の筋層にのみ局在するためであり、この部分の筋層の電気生理学的反応性を調べたところ、括約筋の特性がみられた。また、XIX型コラーゲンKOマウスでは括約筋の機能において最も重要である刺激に反応して弛緩する機能が失われていることがわかった。この障害は平滑筋内に散在する神経、特にNOを介したシグナル伝達に関わる神経が失われた場合の結果とよく似ていた。またNO合成酵素阻害剤であるL-NNAを用いて、同様の結果が得られた。さらに胃内容物の観察により、KOマウスでは食物が正常に流動しでおらず、それが成長遅滞と衰弱の理由であると考えられることなどが、新たに明らかとなった。よってXIX型コラーゲンが噴門の開閉や食物の流動に重要なLESの機能に関わっているととが示唆された。
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[Publications] 住吉秀明 他: "XIX型コラーゲンに関する最近の知見"Connective Tissue. Vol.34,No.2. 175-179 (2002)
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[Publications] 吉岡秀克 他: "軟骨に発現するコラーゲン遺伝子の選択的スプライシング"Connective Tissue. Vol.34,No.2. 157-163 (2002)