2003 Fiscal Year Annual Research Report
組織特異的幹細胞の分化・増殖に関与する諸因子の検討と肝幹細胞移植の実験的研究
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14770241
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
足立 雅之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70338028)
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Keywords | 肝再生 / 肝細胞培養法 / Side population cell / アポトーシス |
Research Abstract |
肝細胞長期培養系またはSP細胞を用いた肝細胞分化・増殖に関与する諸因子の動態についての検討 通常の培養条件で、初代培養肝細胞は短期間で線維芽細胞様に形態変化し肝特異的機能を失うが、コラーゲンゲルを重層することで、いったん失った機能を再獲得できることを、肝特異的遺伝子発現量やアルブミン産生量の比較で明らかにした。臓器によらない分離方法で採取する組織幹細胞として注目されているSide population cell(SP細胞)は、骨髄・肝臓非実質細胞・脾臓のいずれから分離したものでも、分離直後は肝特異的遺伝子の発現は認められないが、初代培養肝細胞と2週間混合培養することで増殖、アルブミン・CK18・AFPといった肝特異的マーカーの発現を蛋白質のレベルで確認できるようになる。この結果から、コラーゲンゲル・サンドイッチ法を用いた初代培養肝細胞との混合培養系が、SP細胞を肝細胞に分化誘導させる環境を構築できることが示唆された。 肝再生におけるアポトーシス制御遺伝子の発現の検討 アポトーシス制御する因子が肝細胞分化・増殖に重要であり、肝細胞内に生じる酸化ストレスが長期間にわたる機能維持、あるいは再生過程に対して阻害的に作用することを予想している。酸化ストレスによるアポトーシス誘導過程に対して、アポトーシス促進型Bcl-2family遺伝子Baxが重要であることが確認された。さらに、この過程に介在すると思われる各種シグナル伝達系あるいは転写因子の役割を検討したところ、MAP kinase assayのひとつc-Jun N-terminal Kinase(JNK)が酸化ストレスによるアポトーシスに促進的に働き、転写因子NF-kappa Bがアポトーシス抑制的に働くことを確認した。
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