2002 Fiscal Year Annual Research Report
スキルス胃癌腹膜転移に対するカスタムメイドリポソームを用いた遺伝子化学療法
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14770250
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
並木 禎尚 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00338930)
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Keywords | スキルス胃癌 / 腹膜転移 / 遺伝子治療 / 化学療法 / カスタムメイド |
Research Abstract |
スキルス胃癌は腹膜転移・腹膜再発による死亡率が非常に高く、それらのコントロールは予後の改善において非常に重要であるが、現在までに、標準治療は確立されておらず、新たな集学的治療の開発が急務である。現在、日常診療で行われている化学療法に遺伝子治療を組み合わせた"遺伝子化学療法"は現実的で有望な集学的治療のひとつであるが、遺伝子治療の成績向上には、それぞれの症例に応じた適切な遺伝子導入効率をもつベクター(遺伝子の運び屋)の選択、すなわちベクターのカスタムメイドが不可欠であると思われる。そこで、我々は、遺伝子治療として、繰り返し投与が可能で実際の癌治療に有用と思われるカチオニックリポソームをベクターとして用い、そのカスタムメイドを行い、また、化学療法として、日常診療で多用されている5-フルオロウラシル系抗癌剤を併用する"遺伝子化学療法"の前臨床試験を計画した。 平成14年度に施行した実験内容および結果については、以下の通りである。 1.7種類のスキルス胃癌細胞株をヌードマウスの腹腔内に接種し、その中から高度な腹膜播種を呈する細胞株を4種類選択した。 2.β-galactosidase遺伝子を用いて、これらの4種類のスキルス胃癌細胞株に対して、リポソーム組成(8種類)・遺伝子量(2種類)・リポソーム濃度(6段階)を変化させ(384通りの条件)、遺伝子導入を行った。続いて、各細胞株におけるβ-galactosidaseの定量を行い最適な導入条件について検討を行った。その結果、最適条件は、各々において全く異なりベクターのカスタムメイドが不可欠であることが示唆された。 平成15年度については、14年度に得られた結果をもとに、治療遺伝子を含有したカスタムメイドリポソームを作製し、5-フルオロウラシル系抗癌剤による化学療法と併用し、スキルス胃癌細胞株、高度腹膜播種モデルに対して治療実験を行う予定である。
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