2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウィルス・真菌・抗酸菌肺感染症に対する肺胞マクロファージによる自然免疫
Project/Area Number |
14770268
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
柴田 陽光 山形大学, 医学部附属病院, 助手 (60333978)
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Keywords | 肺胞マクロファージ / 自然免疫 / GM-CSF / 転写因子 / PU.1 |
Research Abstract |
GM-CSF欠損マウスより樹立した肺胞マクロファージ(MP)細胞株mAMとそれにPU.1遺伝子をレトロウイルスベクターにて導入した細胞株mAM+PU.1に対してアデノウイルスおよび真菌菌体成分ザイモザンの取り込み能を評価したところ、PU.1の強制発現にて取り込み量は著明に増大した。これら所見よりGM-CSFはPU.1を介してウイルス・真菌の取り込み能を発揮することが示された。 マクロライド(MLs)は抗菌作用以外に気道上皮細胞に対して抗炎症作用を持つことが報告されているが、MPに対しても同様の作用を有するかどうかということおよびその詳細な作用機序に関してはほとんど報告がない。そこで、MPをMLsにより前処置することにより、lipopolysaccharide (LPS)により誘導される転写因子群がどのように変化するかを検討した。MLs前処置によりinterferon consensus sequence binding protein (ICSBP)発現は抑制され、ICSBPにより発現調節される遺伝子であるtoll-like receptor-4、CD11bもMLsにより抑制された。PU.1、PPARγ、Egr-1、IRFI、IRF2、IRF7等のその他の転写因子はMLsにより影響されなかった。また抗炎症性のサイトカインであるinterleukin-10およびheat shock protein70の発現はMLs前処置により増加した。さらに、(1)MLs前処置によりLPSによりMPで誘導される腫瘍壊死因子(TNF)の発現は早期に消退すること、(2)MLs前処置によりLPSによりMPで誘導される細胞接着能の亢進は抑制されることを証明した。上記所見は、MLsはMPに対し過剰な炎症反応が遷延するのを抑え、白血病の炎症局所への過剰な集積を抑制するものと考えられた。
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