2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞のエネルギー代謝における星状神経膠細胞の寄与
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14770296
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊藤 義彰 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90265786)
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Keywords | ニューロン / アストロサイト / 解糖系 / TCAサイクル / 乳酸トランスポータ / デオキシグルコース法 / ラット / 培養細胞 |
Research Abstract |
1)乳酸トランスポータを阻害するとニューロンでのグルコース利用率が増加する(in vitro研究)(J Cereb Blood Flow Met,2003掲載予定)。アストロサイトにてグルコースから代謝された乳酸が、ニューロンへ取り込まれエネルギーとして利用されるなら、そのトランスポータを阻害するとニューロンではエネルギー基質を補うためにグルコースの取り込みが増加することが予想される。そこで、培養ニューロンに乳酸のトランスポータを阻害するα-cyano-4-hydroxycinnamate(4CIN)を投与して、糖代謝を測定した。乳酸をメディウムに加えると、ニューロンはこれをエネルギー基質として利用するためグルコースの利用率が落ちたが、この低下は、あらかじめメディウムに4CINを加えることにより抑制された。 2)乳酸トランスポーターを阻害すると脳でのグルコース利用率が増加する(in vivo研究)(J Cereb Blood Flow Met,2003掲載予定)。乳酸トランスポータMCT2を阻害する4CINと、MCT1およびMCT2をともに阻害するquercetinをラットに投与し、安静時の脳グルコース摂取率を測定した。4CINにより脳グルコース摂取率は5から14%増加したが、quercetinでは有意な増加は認められなかった。quercetinはニューロンおよびアストロサイトの乳酸トランスポータをともに抑制するため、アストロサイトでは乳酸分泌の抑制が同細胞でのグルコース摂取率の減少となり、ニューロンでのグルコース利用率増加と相殺されるためと考えられた。 3)培養細胞でのエネルギー基質の測定(Proc Natl Acad Sci投稿中)。ニューロンのエネルギー基質としてグルコース、乳酸があり、相互の存在下での各基質の利用率を測定した。また、同様な基質の利用率を培養アストログリアについて測定し、生体内でのニューロンとグリアのエネルギー基質供給、利用についての共生関係を評価した。
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