2002 Fiscal Year Annual Research Report
難治性不整脈の臨床病理学的研究―モデルマウスおよび剖検心を用いた検討―
Project/Area Number |
14770310
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 隆久 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00303644)
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Keywords | 不整脈 / 老化 / 突然死 / 洞機能不全 / アポトーシス / マウス |
Research Abstract |
我々は、心筋や血管内皮細胞のアポトーシスにともない細胞骨格蛋白の分布が変化することを観察してきた(Kondo T. et al. J Cell Biol.1997)。近年、心不全や不整脈の機序に、心筋のアポトーシスの関与が報告されるにいたっている。特定の臓器の細胞のアポトーシスは個体の老化と関与していると考えられる。さらに、高齢化社会に伴い、洞不全症候群・心房細動が増加しており、その治療にペースメーカーやカテーテルアブレーションが駆使されるにいたっている。我々は従来より種々の不整脈患者において、体表面心電図や心腔内心電図を用いて詳細なマッピングを行い、不整脈の起源・機序・回路の同定方を報告している(Yoshida Y., Kondo T. et al. Circulation.2000,Inden Y., Kondo T. et al. J Cardiovasc Electrophysiol.2001)。 このたび、我々は老化モデルマウスのひとつにおいて心房性不整脈を生ずることを見出した。マウスにおける心房性不整脈の報告は数少なく、特筆に価する。このモデルマウスでは、老化関連蛋白が、洞結節に限局して発現をしており、さらに電気生理学的検査を行ったところ洞停止をみとめ、ヒトにおける洞不全症候群の機序を考える上で非常に興味深いと考えられた。さらにこのマウスを種々のストレス下の環境に置くと、突然死をすることを見出している(投稿準備中)。現在、このモデルマウスにおける突然死の原因を検索中である。 突然死は、虚血性心疾患患者や心不全患者における死因として注目されている課題である。このモデルマウスにおける死因の検討は、臨床上の突然死の解明の一助となると考えられる。今後は、マウスにおける検討とともに、ヒトににおいて老化関連蛋白と不整脈の関連を検討していく予定である。
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