2003 Fiscal Year Annual Research Report
難治性不整脈の臨床病理学的研究―モデルマウスおよび剖検心を用いた検討
Project/Area Number |
14770310
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 隆久 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00303644)
|
Keywords | 不整脈 / 老化 / 突然死 / 洞機能不全症候群 / アポトーシス / klothoマウス / 心筋梗塞 / CD14 |
Research Abstract |
近年わが国では高齢化社会の到来とともに、心血管系の疾患による死亡は、心疾患・脳血管障害を含めると全死亡の約1/3を占めるに至っている。なかでも、心疾患に伴う突然死の救命は、現代医療が取り組むべき最優先課題のうちの一つである。これらの心突然死は、急性心筋梗塞に伴う心室頻拍/心室細動・洞気脳不全症候群による徐脈・心筋症患者における頻脈性不整脈などによる血行動態の破綻がその原因として知られている。 急性心筋梗塞は、冠動脈の破綻に伴う血栓の形成がその機序として考えられているが、そのトリガーがいかなるものかは依然不明である。その機序の一つとしてLPS受容体の一つであるCD14の遺伝子多型が関与していることを証明し、感染にともなうLPS受容体の活性化が突然に心筋虚血の原因の一つであることを証明した。 また、不整脈に関しては、その原因には心筋細胞や血管内皮細胞のアポトーシスが知られているが、これまでにその際に細胞骨格が変化することを証明している。さらに、カテーテルアブレーションなどの最新の方法を駆使して、上記の不整脈の起源・機序・回路の同定も報告してきた。 本研究では、老化モデル類似マウスであるklothoマウスがストレスに曝露されると、ヒト高齢者と同様の徐脈性不整脈により突然死を起こすことを見出した。電気性理学的検査にて、この突然死の機序は洞機能不全であることを見出した。従来、マウス心臓において心房性不整脈が報告されているものは、チャネル遺伝子やギャップジャンクションを破壊したマウスのみで知られており、klothoのような液性因子が関与する不整脈の報告は皆無であった。そこで、更に詳細に検討するためにklotho遺伝子をβ-Gal遺伝子に置き換えたマウスを作成した。驚いたことに、β-Gal遺伝子は、従来klothoの発現部位をして知られていた腎臓以外に発生初期には右心房領域に発現しており、生後は洞結節に限局して発現していることが判明した。今度は、詳細にklotho遺伝子と心房性不整脈の関連を検討していく予定である。
|
-
[Publications] Kondo T., et al.: "CD14 promoter polymorphism is associated with acute myocardial infarction resulting from insignificant coronary artery stenosis"Heart. 89. 931-932 (2003)
-
[Publications] Takeshit K., Kondo T., et al.: "Klotho Gene Expression is Essential for the Sinoatrial Node to Function as a Dependable Pacemaker in Jeopardy"Circulation Supplement. 108. 169 (2003)