2002 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシンII阻害下の慢性心不全における内因性ブラジキニンの心機能維持作用
Project/Area Number |
14770311
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
大西 勝也 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (40343222)
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Keywords | ブラジキニン / ACE阻害薬 / アンジオテンシンII / 慢性心不全 |
Research Abstract |
慢性心不全(CHF)において、ACE阻害薬(ACEI ; enarapril)とアンジオテンシン(AII)受容体拮抗薬(ARB ; candesartan)の併用療法が、内因性ブラジキニン(BK)の作用を介し、それぞれの単剤療法に比し血行動態を改善させるか、イヌ高頻拍心不全モデルを用いて検討した。CHFにおいて併用療法は、ACEIやARBの単剤療法に比し、左室収縮及び拡張能を維持し、左室リモデリングを抑制し、左室-大動脈整合性を改善した。各CHF群において、BK B2受容体拮抗薬HOE140を投与すると、末梢血管抵抗の増大、左室拡張末期圧の上昇、一回拍出量の低下を認め、心機能維持における内因性BKの関与が示唆された。このようなBK B2受容体拮抗薬に対する反応は、併用療法で最も著明であった。また、併用療法群においては血中BK濃度の上昇、及び左室BKB2受容体の増加を認め、併用療法による心血行動態維持作用に内因性BKが深く関与している可能性が示唆された。今年度は、近年BKが左室繊維化を抑制すると報告されたことから、ACEIとARBの併用療法がAIIを抑制するだけではなく、内因性BKを増加させることにより、左室繊維化を各単剤療法に比し抑制するという仮説を検証する。方法は、ACEI、ARBの各単剤療法、併用療法、及び無投与群において、左室コンプライアンスを含む左室拡張能の測定、左室繊維化の定量、collagen I & IIIなど繊維化マーカーの測定にて、血行動態的に及び組織的に左室繊維化を評価後、BKやeNOSの定量及び免疫染色を施行し、内因性BKの関与を推定する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Koji T, Onishi K, Dohi K, Okamoto R, Tanabe M, Kitamura T, Ito M, Isaka N, Nobori T, Nakano T: "Addition of angiotensin II receptor antagonist to an ACE inhibitor in heart failure improves cardiovascular function by a bradykinin-mediated mechanism"J Cardiovasc Pharmacol. 41(4)(in press). (2003)