閉経後女性の異型狭心症に対するホルモン補充療法の有効性の検討

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14770318
• Research Institution: Kumamoto University
• Principal Investigator: 河野 宏明 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (10305013)
• Keywords: エストロゲン / ホルモン補充療法 / デヒドロエピアンドロステロン / 血管内皮 / 冠攣縮 / 炎症反応

Research Abstract

閉経後女性に対するホルモン補充療法は、急性心筋梗塞の一次および二次予防の有効性が無いことが報告された。一般に、ホルモン補充療法を施行する際には、経口エストロゲン製剤を用いることが多い。我々は、経口と径皮投与との比較を行った。その結果、いずれの方法でも酸化ストレスは低下し、血管内皮機能は改善する方向に作用するのではあるが、経口投与は径皮投与に比較して、CRPが上昇する結果を得た。CRPの上昇は将来の急性冠症候群の発症に大きく関与していることから、経口投与におけるCRPの上昇が悪い影響を与えている可能性がある。過喚気負荷試験は異型狭心症の特異的な検査である。この方法を用いて、エストロゲン投与の異型狭心症に対する効果を検討した。その結果、36時間の径皮エストロゲン投与は過換気負荷試験による異型狭心症の発症を抑えた。その時の血管内皮機能は改善を認めた。エストロゲンの中止後、同じ検査を行ったところ、再現性を持って異型狭心症は誘発された。この事は、エストロゲン投与によって、血管内皮機能が改善され、その結果冠攣縮の発症が抑制された可能性がある。男性に対するホルモン補充療法として、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)補充療法を行った。DHEA副腎由来の男性ステロイドホルモンの一種であり、20歳ころをピークとして加齢とともに低下することが知られている。我々はDHEAが同年代の心不全患者に比較して低下していることを報告した。そこで、DHEAを初老期の男性に投与し、血管機能への影響を検討した。その結果、血管内皮機能は改善し、plasminogen activator inhibitor type 1は低下した。同時に検討したインスリン感受性も改善を認めた。以上のことから、男性に対するDHEA補充療法は、加齢に伴う動脈硬化の進展を抑制する可能性がある。

Research Products

• [Publications] Hirai N, Fukunaga T, Kawano H, Honda O, Sakamoto T, Yoshimura M, Kugiyama K, Ogawa H.: "Platypnea-orthodeoxia syndrome with atrial septal defect."Circ J. 67. 172-175 (2003)
• [Publications] Miyamoto S, Kawano H, Sakamoto T, Soejima H, Kajiwara I, Shimomura H, Kojima S, Hokamaki J, Sugiyama S, Hirai N, Yoshimura M, Ozaki Y, Ogawa H.: "Formation of platelet microaggregates correlates with adverse clinical outcome in patients with coronary artery disease."Thromb Haemost. 89. 681-686 (2003)
• [Publications] Kawano H, Yasue H, Kitagawa A, Hirai N, Yoshida T, Soejima H, Miyamoto S, Nakano M, Ogawa H.: "Dehydroepiandrosterone supplementation improves endothelial function and insulin sensitivity in men."J Clin Endocri & Metab.. 88. 3190-3195 (2003)
• [Publications] Kawano H, Yasue H, Hirai N, Yoshida T, Fukushima H, MD, Miyamoto S, Kojima S, Hokamaki J, Nakamura H, Yodoi J, Ogawa H.: "Effects of transdermal and oral estrogen supplementation on endothelial function, inflammation, and cellular redox state."International Journal of Clinical Pharmacology & Therapeutics. 41. 346-353 (2003)
• [Publications] Hirai N, Kawano H, Yasue H, Takazoe K, Shimomura H, Miyamoto S, Soejima H, Sakamoto T, Nakamura H, Kugiyama K, Yodoi J, Ogawa H.: "Attenuation of nitrate tolerance and oxidative stress by angiotensin II receptor blocker in patients with coronary spasm."Circulation. 108. 1446-1450 (2003)