2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本人におけるIgA腎症とウテログロビン遺伝子について
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14770348
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松永 明 山形大学, 医学部附属病院, 助手 (00312752)
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Keywords | IgA腎症 / ウテログロビン / 遺伝子異常 / 発症因子 |
Research Abstract |
IgA腎症は小児で発症し成人にキャリーオーバーすることが多いこと,慢性腎不全に進展する場合が少なくないため重要な疾患である。本症の発症因子としての遺伝的背景は未だに不明である。最近,ウテログロビン(UG)遺伝子のノックアウトマウス,やアンチセンス導入マウスがヒトIgA腎症類似の病変を呈することが報告された。我々はUGのヒトIgA腎症における役割に注目し分子生物的手法を用いて研究してきた。対象を腎生検が施行されIgA腎症と診断された成人38例と15歳以下で発症した小児23例とした。正常コントロールは143例について行った。方法は採血,分離したゲノムDNAをPCR法で増幅させ,Single Strand Conformational Polymorphism法を用いて遺伝子異常の有無をスクリーニングし検出された遺伝子異常について塩基配列を決定した。また,対象の血清中のUGを同時に測定した。さらに臨床,病理学的検討を遺伝子異常毎に比較検討した。その結果UG遺伝子異常としては38番目のグアニンからアデニンへの変異(G38A)が検出され,そのホモ接合体は特に小児例に於いて高頻度に認められた。病理学的検討では成人に於いてG38Aホモ接合体の患者の組織障害が高度であった。血清UG値に関しては成人女性においてG38Aホモ接合体の患者が有意に低値を示した。 これらのことからUG遺伝子異常が血清UG値,IgAの発症,進展に関与すると考えられるが年齢や,性別による態度の違いなどについてまだ不明な部分もある。また,G38A遺伝子異常はIgA腎症の進展には関係がないとの報告もある。しかし,発症因子の検討をする場合,様々な因子が重複して関与すると考えられている本症ではよりピュアな小児例を検討することで発症因子の可能性を検討できると考えられる。今後症例数を増やし検討していきたい。
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Research Products
(1 results)