2002 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病既往児の長期的QOL(社会的、精神的、身体的、血管分子生物学的アプローチ)
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14770379
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
牟田 広実 久留米大学, 医学部, 助手 (40343694)
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Keywords | 川崎病 / QOL / 喫煙 / 長期予後 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
【背景】川崎病既往児の自然歴にはまだまだ謎が多いが、急性期に冠動脈瘤を残さなかった場合でも、冠動脈瘤が退縮した血管には硬化性が存在し(Sugimura T et al. J Pediatr 1993)、また血管内皮由来のNO産生が低下していること(Yamakawa R et al. J Am Coll Cadiol 1998,Iemura M et al. Heart 2000)がわかっている。これらに加え、成人になってから高脂血症、喫煙、高血圧、糖尿病など他の動脈硬化因子が加わることによって、動脈硬化がと促進する可能性が示唆されている。しかしながら、川崎病は幼年期に罹患することが多く、本人が罹患したことを覚えていない、または両親より知らされていない場合も少なくない。本研究では、川崎病既往に対する認識、および現在の動脈硬化因子の有無について検討をおこなった。【方法】対象は、川崎病で当院に受診歴がある16歳以上の患児266人。本年度は、川崎病罹患に対する意識、および動脈硬化促進因子の有無を検討した。【結果】川崎病既往を知っていたものは、97%であった。知ったのは、罹患後5年以上経過してからが多く、心後遺症に対する誤った認識も多く見られた。動脈硬化促進因子の中で、青年期に多いものとして喫煙があるが、川崎病既往児の中でも現在喫煙している者を17%、過去に喫煙していた者を6%に認めた。ほとんどが興味本位で始めており、喫煙者の約半数が喫煙が動脈硬化因子であることを知らなかった。一部に血清脂質異常を認めたものの、川崎病既往児に特に多い動脈硬化因子はなかった。【考察】平成15年度は、禁煙指導などによる動脈硬化因子の変化および、調査票を用いたQOLの評価をおこなう。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Muta H, Ishii M, Matsuishi T.: "Coronary artery aneurysm after Kawasaki disease in a patient with single coronary artery"Pediatric Cardiology. 23(5). 568-569 (2002)
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[Publications] Ishii M, Himeno W, Muta H, et al.: "Assessment of the ability of myocardial contrast echocardiography with harmonic power Doppler imaging"Pediatric Cardiology. 23(2). 192-199 (2002)
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[Publications] Ishii M, Ueno T, Muta H, et al.: "Sequential follow-up results of catheter intervention for coronary artery lesions after Kawasaki disease"Circulation. 105. 3004-3010 (2002)
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[Publications] Furui J, Ishii M, Muta H, et al.: "Soluble forms of the selectin family in children with Kawasaki disease: prediction for coronary artery lesions"Acta Paediatrica. 91. 1183-1188 (2002)
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[Publications] 牟田広実, 石井正浩, 廣瀬彰子, 他: "川崎病ガンマグロブリン療法における製剤間での治療効果の比較"日本小児科学会雑誌. 106(6). 742-746 (2002)