2002 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚肥満細胞phenotypeの逆転現象から見たアトピー性皮膚炎の病態
Project/Area Number |
14770387
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
片桐 美之 山形大学, 医学部, 助手 (80292431)
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Keywords | 肥満細胞 / アトピー性皮フ炎 / phenotype / ヒスタミン / ELISA |
Research Abstract |
研究目的 アトピー性皮膚炎は年齢による罹患率や臨床症状がかなり異なり,成長に伴った肥満細胞の形態学的機能的変化が重要だと思われる。今回は正常の新生仔,成獣マウスにおける肥満細胞の機能の違いを調べた。 研究方法 生後2日目の新生仔マウスと生後12週の成獣マウスの皮膚において,IgE抗体を使ったPassive cutaneous anaphylaxis(PCA)反応によるヒスタミン放出能をELISA法により測定した。まず,成獣マウスにおいて実験4日前に抜毛を行い皮膚を露出させておく。実験2日前に新生仔,成獣マウスそれぞれの背部皮膚に0.5μg/mlの抗IgE-DNP抗体を0.1〜1ml皮内注射し,sensitizationをあらかじめ行った。実験当日は,前処置しておいた背部皮膚を100〜200mg採取,1〜2mm角に細切片化し重量を測定後2分した上でHBSS溶液に浮游させた。一方には,抗原として最終濃度が5μg/mlになるようにDNP-BSAを,もう一方にはコントロールとしてPBSを混和し,37℃で30分間challengeを行った。challenge直後の溶液と,実験後残留ヒスタミン量を確認するため残った皮膚を6回凍結融解した溶液を採取,ELISA法でヒスタミン放出能を測定した。この系を新生仔,成獣マウスについて各々行った。 研究結果 成獣マウスにおいて,抗IgE-DNP抗体とDNP-BSAを反応させたものでは,コントロールと比べてヒスタミン放出が約15%多く,予想通りの結果であった。一方新生仔マウスでは,ヒスタミンの放出は確認できず,コントロールとの間に差が見られなかった。このことから,新生仔マウスの皮膚肥満細胞においてIgEを介した脱顆粒ヒスタミン放出は未熟もしくは行われないということがわかった。 今後の実験 今回の結果から,今後は新生仔マウスにおけるFcεRIレセプターの存在の確認を行う。また,IgE抗体を使ったPCA反応だけでなく,Compound48/80やSubstance Pなどの人工脱顆粒物質を使って新生仔,成獣マウスのヒスタミン放出能を測定する。さらに,アトピー性皮膚炎患者の同意を得て,皮膚肥満細胞を採取分離,培養を行い,細胞レベルでの違いも検討する。
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