2002 Fiscal Year Annual Research Report
転移抑制遺伝子KiSS-1による悪性黒色腫転移抑制機構の解明
Project/Area Number |
14770394
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
白崎 文朗 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10313644)
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Keywords | 悪性黒色腫 / KiSS-1 / 転移抑制遺伝子 / metastin |
Research Abstract |
今年度はまず、転移抑制遺伝子KiSS-1の発現がほとんどみられていない黒色腫細胞株A375にKiSS-1を導入し、stable transfectantであるA375-KS1を作成した。このA375-KS1とコントロールベクターを導入したA375-PC3間の発現遺伝子の違いが、黒色腫の転移の起こりやすさを規定していると考え、microarray法を用いて両者の発現遺伝子を比較した。その結果、A375-KS1で2倍以上多くあるいは少なく発現している遺伝子をいくつか見い出した。その中で、細胞外マトリックス分解タンパク質であるMMP9、細胞の運動に関与していると考えられているαチュブリンや微小管結合タンパク質であるtastinが興味ある遺伝子であると考え、今後黒色腫細胞株および黒色腫組織を用いて検討していく予定である。 一方、KiSS-1遺伝子産物は細胞内で切断されメタスチンとして細胞外に分泌され、Gタンパク連結受容体hOT7T175のligandとなり、黒色腫の転移を抑制することが知られている。そこで、異なる病期の黒色腫患者49例の血清中メタスチン濃度をELISA法で測定した。その結果、領域リンパ節転移を有する3例のstageIII患者が高値を示した以外に、早期例でも進行例でも血清メタスチンの上昇はみられなかった。以前の検討では、Tumor thicknessが小さい黒色腫ほどKiSS-1 mRNAの発現が高率にみられたので、今後、黒色腫でメタスチンの発現がstageと相関しなかった理由に関して検討する予定である。
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