2003 Fiscal Year Annual Research Report
転移抑制遺伝子KiSS-1による悪性黒色腫転移抑制機構の解明
Project/Area Number |
14770394
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
白崎 文明 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10313644)
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Keywords | 悪性黒色腫 / KiSS-1 / 転移抑制遺伝子 |
Research Abstract |
昨年度の研究で、転移抑制遺伝子KiSS-1の発現がほとんどみられない黒色腫細胞株A375とこれにKiSS-1を導入したA375-KS1の発現遺伝子の違いをmicroarray法で検討したところ、A375-KS1で発現が2倍以上多い遺伝子をいくつか見いだした。その中で、微小管蛋白であるαチュブリンの発現について検討した。悪性黒色腫原発巣10例(腫瘍の厚さが4mm以下の5例と4mm以上の5例)、転移巣10例の手術標本を用いて、real-time PCR法でmRNAの、免疫染色法でタンパク質の発現を検討したが、各群でのαチュブリンの発現に有意差は認められなかった。 次に、KiSS-1の上流遺伝子で、KiSS-1発現を制御していると考えられているCRSP3に関する検討を行った。悪性黒色腫は、その進展に伴い染色体6qのLOH(Loss of heterozygosity,LOH)が高頻度で生じることが知られているが、CRSP3はこの6q領域に存在する遺伝子で、ビタミンD受容体が関与する転写のco-factorである。そこでまず、黒色腫転移巣から樹立した細胞株15株を6qのLOHの有無で2群にわけ(6qLOHありが10例、なしが5例)、CRSP3 mRNAの発現をreal-time PCR法で検討したが、p=0.735で有意差は認めなかった。そこで、悪性黒色腫原発巣11例、転移巣9例からRNAを抽出し、real-time PCR法でCRSP3とKiSS-1の発現量の相関を調べた。その結果、βアクチンで補正したCRSP3とKiSS-1の発現量は、約63%の正の相関を示した。以上より、CRSP3はKiSS-1を介してと同様に悪性黒色腫の進展に関与していると考えられるので、今後、CRSP3によるKiSS-1の調節機構を検討する予定である。
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