2002 Fiscal Year Annual Research Report
胸部ファントムの測定に基づく、体幹部定位放射線治療の精度研究
Project/Area Number |
14770438
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有賀 久哲 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (30333818)
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Keywords | 体幹部低位照射 / 高精度放射線治療 / 人体ファントム / 肺腫瘍 |
Research Abstract |
人体環境を再現した胸腔ファントムを作成し,肺定位照射の実測評価を行う研究を進めている。 当初ファントム内に,腫瘍サイズ・腫瘍位置などの各種パラメータ変更機能を付加する予定であった。しかし,特異な肺腫瘤性病変の環境(電子密度の低い肺の内部に微少な結節構造が存在している状態)の再現を目的とした場合,線量分布への影響無くこれらの構造を組み込むことは困難と判断された。実験対象がnarrow photon beamを用いた高精度集光照射であることを考慮すると,誤差要因の排除を優先すべきと考え,ファントム内環場を固定均質化する方針に改めた。 ファントムの具体的な構造決定に先立って,当科で体幹部定位照射を実施した症例の肺所見を再検討した。レビューした20例のうち約7割の症例に,CT上の肺炎像出現を認めた。しかし,その像は多様であり,患者・腫瘍因子,治療因子との有意な相関は得られなかった。ただ,active breathing controlを導入した最近の症例では,肺炎の出現が軽度であり,定位照射による肺障害に,呼吸性移動の関与が示唆された。呼吸性移動に関しては,当科ではマルチリーフ・コリメータを用いた追跡照射システムがほぼ実用化されており,移動するターゲットに対する放射線照射の影響を検討・応用するには適した研究環境にある。 これらを鑑み,当初計画していたファントム内のパラメータ調節機能を削除する代わりに,照射中のターゲットの動きをシミュレートする外的装置を付加する方向で設計修正し,ファントム作成した。これにより,肺腫瘤性病変の特殊な環境を再現するだけでなく,呼吸移動を加味した照射影響も評価することで,より臨床に即した測定データが得られると考えている。また、平成15年度には、最近開発が進んでいる種々の呼吸移動抑制法(呼吸同期,呼吸停止,動体追跡等)に対しても,実測データに基づいて比較評価・検討する予定である。
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