2002 Fiscal Year Annual Research Report
壊変系列を伴うα線放出核種の化学的変化に対応できるビオチン誘導キレート薬剤の開発
Project/Area Number |
14770448
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鷲山 幸信 金沢大学, 医学部, 助手 (80313675)
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Keywords | α放射体 / 放射免疫療法 / ^<225>Ra / ^<225>Ac / ^<213>Bi / ネプツニウム系列 |
Research Abstract |
α線は短飛程、高LETであり、放射免疫療法適応時の効果が期待される。特にα線放出核種には安定同位体のないものが多いため、複数回の壊変による単一核種治療よりも少放射能大線量の治療が可能である。しかし壊変による元素の変遷のため、腫瘍周辺での線量の維持や放射性核種の分布を保つことは非常に難しい。放射性壊変により体内で生成した核種がどの様な生体内動態を示すかを把握することは、化学的変化に対応するキレート試薬を合成する上における基礎的な条件を検討するために必要であるため、本研究ではネプツニウム系列中の^<225>Raをマウスに投与し、生体内での壊変生成娘核種の体内分布を調べた。 ICR系8週齢雄マウスに^<225>Ra含有生理的食塩水を尾静脈投与した。1週間体内での娘核種の成長を待った後、解剖し肝臓,腎臓,脾臓,大腿骨と血液を摘出,採取し、重量測定後直ちにγ線スペクトロメトリーを行い各組織中の^<225>Raと娘核種の解剖直後の放射能を求めた。 ^<225>Raは大部分が骨に集積し血液や軟組織への取り込みはわずかであった。娘核種の^<225>Acは^<225>Raと同様に骨に集積し、わずかに肝臓、脾臓へ取り込まれた。Acは主に肝臓と骨に集積することが知られているが、本結果では骨中で^<225>Raと平衡状態を保っていることが判明した。これに対し^<225>Acの娘核種の^<221>Frは非平衡状態で血液中に存在することが判明した。^<221>Frは^<225>Acのα壊変により生成するため、反跳現象またはアルカリ金属元素としての化学的性質のために骨部位から遊離したことが示唆される。^<221>Fr以下の娘核種の一つである^<213>Biは腎臓に集積した。これは^<221>Frが壊変した後に血中から腎臓へ再分布したものと考えられる。 本結果はα放射体がキレート薬剤から遊離した際の予想体内被曝線量計算のパラメータとして有用である。
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Research Products
(1 results)