2003 Fiscal Year Annual Research Report
壊変系列を伴うα線放出核種の化学的変化に対応できるビオチン誘導キレート薬剤の開発
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14770448
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鷲山 幸信 金沢大学, 医学部, 助手 (80313675)
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Keywords | α放射体 / Radionuclide therapy / ^<227>Th / ^<223>Ra / EDTMP / アクチニウム系列 / 転移性骨腫瘍 |
Research Abstract |
本研究ではα線放出核種を対象として、これらの核種を治療に使用するために必要な二官能性キレート薬剤を開発することを目的としてきた。そのための基礎的な条件としてキレート剤の選定、およびキレートと結合した放射性核種が壊変後においても結合を維持できるかといった項目を検討してきた。この検討の際に、骨へ集積しやすいラジウム(Ra)やトリウム(Th)の持つ化学的性質と娘核種の持つ半減期の組み合わせによっては骨腫瘍部位に娘核種が留まりやすいことが判明した(昨年度の報告)。今年度は骨部位での癌、転移性骨腫瘍に着目し、新たにアクチニウム系列核種^<227>Thを用いて骨集積性キレート剤EDTMP(エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸)との化合物を作成し、マウス体内分布および娘核種の保持率を求めた。 7週齢ICR系雄マウスに^<227>Th-EDTMP溶液0.1mLを投与し、15分後から最大14日後までの体内分布を求めた。対象組織は肝臓、腎臓、脾臓、肺、筋肉、大腿骨、頭頂骨、血液で、各組織のγ線スペクトロメトリーを行い、単位重量当たりの注射量に対する取込み率(%dose/g)を算出した。 ^<227>Th-EDTMPは大腿骨において投与15分後に高い取り込みを示し、その後14日後まで取り込み率は有意に変化しなかった。一方、軟組織、血液では15分後以降、取り込み率が減少していく傾向が見られた。娘核種の保持率は、投与後7日と14日いずれにおいても80-90%以上の保持を示した。これは^<227>Th壊変後の娘核種が骨に集積しやすい性質を持つものが多いことや、それぞれの核種の半減期が短いことにより血流を介して移動するよりも早い時間で次の核種への壊変を起こすためである。 本結果は、^<227>Th-EDTMPが転移性骨腫瘍治療に適応可能性であることを示している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kohshin Washiyama: "Biodistribution of ^<225>Ra and its daughter nuclides in the neptunium series"Proceedings of the International Symposium on Bio-Trace Elements 2002(BITREL2002). 173-176 (2003)
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[Publications] K.Washiyama, Y.Shiokawa, K.Kanayama, S.Kinuya, R.Amano: "The possibility of ^<225>Ra for targeted therapy of bone metastases,"Europian Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging. 30・suppl.2. S320 (2003)
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[Publications] 鷲山幸信, 絹谷清剛, 三頭聰明, 天野良平: "^<227>Th-EDTMP錯体の合成と生体内挙動"Journal of Nuclear and Radiochemical Sciences. 4・suppl.. 152 (2003)
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[Publications] 鷲山幸信, 金山洋介, 絹谷清剛, 羽場宏光, 榎本秀一, 天野良平: "壊変系列中のBi同位体の核医学応用のために-サイクロトロン製造^<206>Biによる検討-"Journal of Nuclear and Radiochemical Sciences. 4・suppl.. 153 (2003)
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[Publications] 鷲山幸信, 天野良平, 絹谷清剛, 利波紀久: "^<225>Raとその壊変系列核種の骨腫瘍治療利用への基礎的検討-体内分布と線量評価-"核医学. 40・3. S159 (2003)