2002 Fiscal Year Annual Research Report
超偏極希ガスの連続フロー型製造装置開発と脳機能磁気共鳴研究への応用
Project/Area Number |
14770453
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 敦臣 大阪大学, 医学部, 助手 (70303972)
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Keywords | 超偏極希ガス / 連続フロー / 核磁気共鳴 / 脳機能 |
Research Abstract |
^<129>Xeの核磁気共鳴(NMR)信号は、周囲の環境を反映して特徴的な化学シフトによる分離を示す。この現象を利用することにより、各種組織に溶解した^<129>Xeを分離して観測することができ、緩和時間等のパラメータを利用した詳細な機能診断への応用が期待される。本研究では、感度不足というNMRに固有の従来の問題を乗り越えるため、超偏極希ガス製造装置を開発し、これを連続フロー型としてNMRに導入することにより、飛躍的に感度の増強された^<129>XeのNMR信号の連続観測を可能とした。本装置では、超偏極希ガス製造時においてバッファーガスとしてヘリウム(^4He)、及びクエンチングガスとして窒素ガス(N_2)を混入させることにより、偏極率を飛躍的に向上させ、バッチ式製造時で約35%、連続フロー式製造時において約3%の偏極率を得た。即ち、信号強度として、バッチ式製造時で約7万5千倍、連続フロー式製造時において約6000倍の感度増強を達成した。この連続フロー式製造時における^<129>Xeガスのフロー量は約35ml/分、即ち約2l/時間であった。 本装置を用いて定常的に超偏極^<129>Xeガスを供給することが可能となったので、これをマウスに吸入させたところ、マウス肺空洞内に存在するガス、及びマウス肺組織に溶解した^<129>XeのNMR信号を明瞭に観測することができた。これにより、肺換気能を評価するための新規なパラメータとして、肺胞組織における化学交換速度を定量的に評価することを可能とした。更に、これら肺組織に溶解した^<129>XeのNMR信号に加えて、肺から血流を介して脳組織へ移行した信号を明瞭に観測することができた。この結果から、脳内の超偏極^<129>Xe緩和時間を測定することが可能となるので、今後、この緩和時間の変化から脳血流量および酸素飽和度、酸素摂取率などのパラメータを定量的に見積もることを試みる。
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Research Products
(1 results)