2002 Fiscal Year Annual Research Report
MRIを用いた腫瘍内酸素飽和度の測定及び治療効果との関連性の検討
Project/Area Number |
14770464
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
吉長 正富 琉球大学, 医学部附属病院, 助手 (10325855)
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Keywords | 酸素分圧 / MRI / 脳腫瘍 |
Research Abstract |
腫瘍内酸素分圧を測定することで、放射線治療に対する効果を予測することができると考えられている。動脈血の酸素分圧はパルスオキシメーターを用いて得られた酸素飽和度から推定可能であるが、末梢組織(腫瘍内も含む)での酸素分圧は動脈血のそれと必ずしも一致しない。よって、腫瘍内酸素分圧を確認する低侵襲な方法としてMRIを利用した測定法の確立を試みた。 最初に、酸素分圧の差を検出できるMRIシークエンスの決定を行った。局所組織の血液の酸素分圧の変化を画像化するために、BOLD効果を利用する方法を選択した。これは、内因性常磁性体であるdeoxy-Hbの局所での相対的な減少を画像化するもので、Fast spin echo法、gradient echo法での信号強度の変化を検出できる。いくつかのシークエンスを候補とした。MRI信号変化の検出能の確認のため、酸素ガス(100%)のバブリングにより、酸素分圧の異なる生理食塩液を作成した。これらの食塩液をコイル内の同一平面に固定し、撮像を行った。その結果、gradient echo系列でのシークエンス(2D FLASH, TR50ms, TE7ms, flip angle30°)では視診上も明らかに信号に違いが認められ、酸素分圧が高いものほど高信号に描出された。ROIを設定したMR信号強度の測定でも酸素分圧の高いものほど数値が高く、酸素分圧の低下とMR信号強度の値の低下に相関が認められた。Fast spine echo法でも検出可能であったが、撮像時間を考慮するとgradient echo法が有用と思われた。有用なMRIシークエンスが確認できたため、次に健常脳での酸素吸入前後での信号強度変化、人の脳腫瘍部位と正常部位との信号強度差、高圧酸素吸入前後での腫瘍内信号強度の差についての実験を行う予定である。
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