2003 Fiscal Year Annual Research Report
メラトニンを用いた放射線照射が腫瘍細胞のアポトーシスとフリーラジカルに与える影響-中枢神経系悪性腫瘍に対するメラトニンの抗腫瘍作用と神経保護作用-
Project/Area Number |
14770467
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
幡多 政治 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60285145)
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Keywords | 悪性神経腫瘍 / メラトニン / 抗腫瘍作用 / 細胞保護作用 |
Research Abstract |
メラトニンには、腫瘍細胞のアポトーシスを増加させる抗腫瘍作用と、フリーラジカルからの障害を抑制する細胞保護作用があるということが報告されている。そこで、悪性神経膠腫に対するメラトニンによる抗腫瘍効果と放射線感受性に対する影響について検討した。 60mm×15mm dishに4mlの培地(イーグルの最小必須培地+10%ウシ胎児血清+ペニシリン100U/ml+ストレプトマイシン100μg/ml)を入れ、ヒト悪性神経膠腫細胞株GI-1とU-251MGを3.0×10^5個播種した。4時間後に、0,1×10^<-5>,10^<-7>,10^<-9>,10^<-11>,10^<-13>,10^<-15>Mの各濃度のメラトニンを含む培地に交換し、CO_2インキュベーターで37℃、5%CO_2の条件下に静置培養した。7日後に、増殖した腫瘍細胞を0.25%トリプシン/EDTAで処理することにより細胞浮遊液とし、血球計算板を用いて細胞数を計測した。また、U-251MGをdishに200個播種し、室温(約25度)で4Gy(線量率約1.2Gy/min)のガンマ線照射を行い、CO_2インキュベーターで37℃、5%CO_2の条件下に静置培養した。14日後にコロニーを75%メタノールに溶解した0.5%メチレンブルーにて固定染色し、コロニー数を計測した。 GI-1では、いずれのメラトニン濃度の培地においても、腫瘍細胞の増殖に差はみられなかった。一方、U-251MGでは、10^<-7>Mと10^<-9>Mの濃度のメラトニンを含む培地において、腫瘍細胞の増殖が抑制された。U-251MGのガンマ線照射後のコロニー形成数に関しては、メラトニンの有無による有意な差はみられなかった。 メラトニンは、一部の悪性神経膠腫の増殖抑制に有用であることが示唆された。しかし、その一方で、放射線照射による障害から腫瘍細胞を保護し、放射線感受性を低下させている可能性があると考えられる。
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