2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖因子が細胞増殖速度と放射線感受性に与える影響に関する基礎的検討
Project/Area Number |
14770476
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
那須 佐知子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50292602)
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Keywords | 放射性感受性 / 放射線誘発アポトーシス / 上皮細胞増殖因子受容体(EGFR) / 分子標的 / 生存シグナル |
Research Abstract |
細胞死のシグナルならびに細胞生存シグナル伝達の機構に注目し、この経路に関与する分子や蛋白をターゲットとする分子標的薬剤である上皮細胞増殖因子受容体シグナル伝達阻害剤(genistein, AG1478,PD98059,LY29002)の放射線増感効果を基礎的に検討した。 野性型p53ならびに変異型p53を有する2種類のヒト食道扁平上皮癌株を用いて4種の上皮細胞増殖因子受容体を起点とするシグナル伝達阻害剤を用いシグナル伝達経路を阻害することによって放射線増感効果を検討した。また、EGFRに対するモノクローナル(C225)の放射線増感効果をヌードマウスに移植したA431 tumor Xenograftsを用いて検討し、以下の結果を得た。 1)チロジンキナーゼ阻害剤であるgenisteinによって放射線増感がえられることを報告しているが、EGFRに特異的なキナーゼ阻害剤であるAG1478,Mek阻害剤であるPD98059ならびにPI3K阻害剤であるLY29002についてp53のstatusにかかわらず放射線増感が得られ、変異型p53細胞株ではp53非依存性にアポトーシスと異なる細胞死が誘導された。2)照射6時間前にC225を投与すると、50%腫瘍制御線量(TCD50)は、照射単独とくらべ1.18、また照射後にも2回C225を追加投与すると1.92の増感率が得られた。組織学的検索では、C225単独投与にて腫瘍内への炎性細胞浸潤が認められた。また、放射線照射との併用によって腫瘍内微小血管の減少と血管新生の阻害によると考えられる広範な中心壊死が認められた。このことは生存シグナル伝達との間にクロストークがあるとされるVEGFの抑制が関与していることを示唆する知見と考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nasu, S., Milas, L., Kawabe, S., et al.: "Enhancement of radiotherapy by oleandrin is a caspase-3 dependent process"Cancer Lett. 185(2). 145-151 (2002)