2002 Fiscal Year Annual Research Report
合理的なブリッジングのための新規抗うつ薬代謝の人種差に関する薬理遺伝学的研究
Project/Area Number |
14770497
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森田 幸代 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50335171)
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Keywords | パロキセチン定常血漿中濃度 / CytochromeP450(CYP)2D6 / 遺伝子多型 / 人種差 / 活性低下遺伝子 |
Research Abstract |
1.目的と方法 今年度は、新規抗うつ薬であるパロキセチン(PAX)の日本人における代謝の特徴を調べるために、人種差が存在するCytochromeP450(CYP)2D6遺伝子変異と血漿中PAX濃度の関連について検討した。 PAXを2週間以上服用中の44名(男性26名、女性18名)の患者を対象とし、末梢血からDNAを抽出しCYP2D6^*1、CYP2D6^*2、CYP2D6^*10(C188→T、exon1)、CYP2D6^*5(gene deletion)の有無と、PAXの血漿中濃度定量を行った。尚、本研究は滋賀医科大学医学部倫理委員会の承認を受けている。 2.結果 PAX血漿中濃度は1.4-252.4(59.7±63.1)ng/mlとかなりの個体差が存在し、PAXの一日投与量が10mgでのPAX血漿中濃度は、平均19.4ng/ml、20mgでは平均57.4ng/ml、30mgでは平均129.2ng/ml、40mgでは121.2ng/m1であり、PAXの血漿中濃度は用量依存的な動態を示した。活性低下変異遺伝子(^*5または^*10)の数によって44人の対象を、変異遺伝子のないグループ(14人)、1つの変異遺伝子を持つグループ(23人)、2つの変異遺伝子を持つグループ(7人)に分類したところ、PAX一日投与量が20mgの群では、体重あたりのPAX1日投与量で補正した血漿中PAX濃度は、^*10または^*5をもたない群(^*1/^*1、^*1/^*2、^*2/^*2)では139.9±101.4ng/ml/mg/kg、^*10または^*5を1つ持つ群(^*1/^*10、^*1/^*5、^*2/^*10、^*2/^*5)では179.0±122.7ng/ml/mg/kg、2つ持つ群(^*10/^*10、^*5/^*10)では105.4±62.3ng/ml/mg/kgであり、各群間で有意差は認められなかった(unpaired t-test)。
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