2003 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病患者の視覚探索課題におけるpriming現象について
Project/Area Number |
14770500
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
片山 征爾 鳥取大学, 医学部, 助手 (90314575)
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Keywords | 統合失調症 / priming / 視覚探索 / 眼球運動 |
Research Abstract |
対象は統合失調症患者20名,健常者20名で,研究の意義を説明し書面で同意を得たのち検査を行った。呈示図版は,多数の妨害刺激(T字型)の中に一つの標的刺激(L字型)をランダムに配置したスライドを24枚,妨害刺激のみで標的を含まないスライドを24枚用意した。標的を見つけたらすぐにボタンを押すよう被検者に指示し,ランダムな順序で呈示を行った。図版は,コンピュータと液晶プロジェクタを用いて,被検者の1.5m前方のスクリーン上に呈示した。図版の呈示には,独自に開発したソフトウエアを用いた。検査中の被検者の眼球運動を,アイカメラ(nac製,EMR-7型)を用いてビデオテープに録画し,解析を行った。 解析はとしては,誤答数(お手つきと見逃しの数),標的のない図版呈示直後の眼球運動の象限と一つ前の図版の標的の象限が一致する割合(一致率)などを算出した。 その結果,誤答数についてはお手つき数(健常対照群0.07±0.26,統合失調群0.13±0.35),見逃し数(健常対照群0.80±O.77,統合失調症群1.53±1.25)ともに両群間に有意差はなかった。次に,一致率を両群間で比較したところ,統合失調群は70%,健常群は47%で,統合失調症群で有意に高かった。なお,一致率と服薬量(CP換算),臨床症状との間に相関は認めなかった。 このことから,統合失調症患者は課題遂行の際,ひとつ前の図版の影響を過大に受けていることがわかり,統合失調症におけるhyper-primingを示していると推察された。
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