2002 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病における危険因子および防御因子の動物モデルを用いた検討
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14770506
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中川 康司 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (20335970)
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Keywords | アルツハイマー病 / ラット / 側脳室注入 / アミロイドβ蛋白 / 危険因子 / 防御因子 / アミロイドカスケード仮説 |
Research Abstract |
アルツハイマー病に罹患した患者は年々増え続け、その治療や予防の糸口を見つけることは21世紀医療の最大の課題の一つといえる。アルツハイマー病の病理学的変化として(1)アミロイドβタンパクの脳内沈着(2)神経原線維変化(3)神経細胞脱落が知られており、アルツハイマー病の発症に関しては「アミロイド・カスケード仮説」が広く受け入れられている。一方、アルツハイマー病の危険因子としてはアルミニウム、アポリポタンパクE4、加齢、遺伝子異常、頭部外傷、甲状腺機能低下、教育歴等が報告されており、その防御因子としてはビタミンE、インドメタシン等の抗炎症剤、女性ホルモンなどが報告されている。本研究代表者は「アミロイド・カスケード仮説」に基づき、アルツハイマー病の危険因子あるいは防御因子がアミロイドβタンパクの沈着に対して如何なる影響を及ぼすかを明らかにすべく、ラットの側脳室系や脳実質を用いた研究を開始した。本年度はラットの側脳室にアミロイドβタンパクを注入し、一定期間後(1日後、1週間後、1ヶ月後)にアミロイド線維の沈着の程度を抗アミロイドβ抗体による免疫組織化学的方法を用いて染色し、標本を準備した。この実験系ではラットの頭部に外傷を加えるため、この実験系が副次的に痴呆性高齢者の転倒による頭部外傷モデルとして応用出来ないかも模索中である。次に、第1回欧州生物行動学会に参加して実験動物をヒト疾患モデルとして意味付けする際の意義深い知見を得、認知障害の観点からヒト教育プログラムをアルツハイマー病の動物モデルに応用出来ないかを検討中である。また、研究代表者は光学顕微鏡とデジタルCCDカメラ、解析用コンピューター、プリンター、及び画像解析ソフトを統合することに成功し、免疫組織学的に検出されたアミロイドβタンパク領域の定量的解析を行うシステムの構築がなされた。今後は本システムを用いて免疫組織標本の観察と定量を営為行っていく予定である。
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