2002 Fiscal Year Annual Research Report
Etsファミリー転写因子PU.1とMeCP2の相互作用による遺伝子転写制御
Project/Area Number |
14770545
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Research Institution | Sasaki Institute |
Principal Investigator |
鈴木 光浩 財団法人佐々木研究所, 細胞遺伝部, 研究員 (00321662)
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Keywords | PU.1 / MeCP2 / 転写調節 / ヒストンアセチル化 / ヒストン脱アセチル化 / クロマチン構造 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、PU.1を含む転写調節複合体タンパク質同士におけるクロストークを解明する一端として、その複合体の構成成分の単離・同定を試み、メチル化DNAに特異的に結合し転写を負に調節する転写因子であるMeCP2がPU.1と結合するタンパク質群の1つであることが明らかとした。本研究では、PU.1とMeCP2の相互作用による生物学的な意義の解明を目的としたものである。 本年度はまず、MeCP2とPU.1のそれぞれの欠失変異体を作製し両者の相互作用の確認および結合に必要な部位の同定を行なった。両者の相互作用にはPU.1のEtsドメインとMeCP2のN末端部位もしくはDNA結合ドメインが必要であることを明らかにした。さらにMeCP2はPU.1-CBPの複合体中よりは、PU.1-HDAC1複合体中に、より優位に存在しており、この複合体形成にはmSin3Aが仲介役として関与していることを確認した。次に、PU.1依存的に転写を亢進するpPUx3-TK-100-Lucレポーター遺伝子と共にPU.1とMeCP2の発現ベクターをHeLa細胞に導入し、MeCP2のPU.1特異的な転写制御機構における効果を解析した。その結果、PU.1による転写活性がMeCP2添加により量依存的に抑制された。また、この抑制にはMeCP2のDNA結合部位は不必要であった。一方、β-globin遺伝子のintervening sequence 2領域にはPU.1結合領域が存在し、負のシスエレメントとして作用する可能性が示唆されている。クロマチン免疫沈降法より、この領域にはPU.1と共にmSin3A-HDAC1-MeCP2が結合していることが確認され、転写抑制に働いていることが示唆された。これらの知見よりPU.1-MeCP2はmSin3A-HDAC1と相互作用してクロマチンを脱アセチル化状態に導きクロマチン構造をきつく巻き付けることにより転写を「負」に調節する機能を持つと考えられる。
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