2003 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼ症候群のステロイド抵抗性機序の解明:ステロイド・トランスポーターの検討
Project/Area Number |
14770547
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平山 浩一 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10302423)
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Keywords | ネフローゼ症候群 / ステロイド依存性 / 多剤耐性蛋白質 |
Research Abstract |
腎生検にて微小変化型ネフローゼ症候群と診断した(光顕上は微小変化型で、蛍光抗体法で免疫グロブリン・補体成分の沈着を認めない)再発症例を対象症例とした。対象症例よりリンパ球を分離し、Rhodamine 123排泄試験(Rhodamine123添加培養後、一定時間色素を排泄させ、Phycoerythrin標識mouse-IgG抗ヒトCD3抗体にて染色し、Flow cytometerにてRhodamine123含有細胞率を計測)、および、抗ヒトCD3抗体結合磁気ビーズにてT細胞を選択した後、発現しているMDRmRNAをRT-PCR法にて測定した。 末梢血リンパ球数およびCD3^+細胞の割合は、ステロイド依存性群(ステロイド薬減量中に再発した症例)とステロイド非依存性群(ステロイド薬中止後1年以降に再発した症例)の2群間に有意差を認めなかった。また、Rhodamine123のCD3^+細胞内への取り込みは、2群間に有意差を認めなかったが、Rhodamine123細胞外排泄試験においては、ステロイド依存性症例では、CD3^+細胞中のRhodamine123^+細胞の割合は有意な低値(83.7±2.2% vs 51.6±3.8%、P<0.05)を認めた。また、CD3^+細胞中のMDRmRNAの発現はステロイド依存性症例で高い傾向が認められた。 以上より、微小変化型ネフローゼ症候群症例中には、T細胞における多剤耐性蛋白質などの薬物トランスポーターの発現が増強し、ステロイド薬が細胞内に取り込まれて薬理効果を示す前に細胞外に排泄されることにより、ステロイド依存性がもたらされている可能性が示唆された。 なお、第7染色体に存在するMDR1遺伝子の26番目のエクソンにあるC→Tの1塩基多型とステロイド依存性との関連については、検討症例不足により、有意な結果は得られておらず、現在も検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kouichi Hirayama: "Treatment with the purine synthesis inhibitor mizoribine for ANCA-associated renal vasculitis"American Journal of Kidney Diseases. (In press). (2004)
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[Publications] Kouichi Hirayama: "Predominance of type 2 immune response in idiopathic membranous nephro-pathy : cytoplasmic cytokine analysis."Nephron. 91. 255-261 (2002)
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[Publications] Kouichi Hirayama: "High efflux of rhodamine 123 in T lymphocytes from steroid-dependent nephrotic syndrome."Journal of American Society of Nephrology. 12. 384A (2001)