2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳内SREBPの摂食行動および脂質代謝調節における意義
Project/Area Number |
14770603
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
加隈 哲也 大分医科大学, 医学部, 助手 (80343359)
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Keywords | SREBP / 脂質代謝調節 / レプチン / インスリン / 脂肪酸組成 |
Research Abstract |
SREBPにはSREBP-1a,1c,2という3つのアイソフォームがあり、SREBP-1cは主に脂肪酸合成を、SREBP-2は主にコレステロール合成を調節する転写因子である。レプチン受容体異常肥満モデル動物では、血中だけでなく肝臓や膵ラ氏島にも過剰な脂肪蓄積がみられ、それは高インスリン血症に伴うSREBP-1cの過剰発現による可能性を示してきた。一方SREBP1は脳にも発現しているが、その発現量はレプチン受容体異常肥満モデル動物でも変化はみられなかった。このことは中枢での発現は、肥満や過食、高インスリン血症やレプチンシグナルなどには左右されない可能性を示している。そこで我々は、飢餓時および再摂食時のSREBP1の発現を脳と肝臓で比較した。SREBP1の発現は、肝臓では2日間の絶食で低下し、3時間の再摂食で上昇した。またSREBP1標的遺伝子であるFASやACCも同様の変化を示した。一方脳内SREBP1およびその標的遺伝子は全く変化がなかった。また絶食と再摂食により変化するインスリンとレプチンを第3脳室内に投与した時のSREBPの発現を検討したが、やはり変化は認められなかった。このことは脳内SREBPの発現は末梢とは独立して制御されていることを示すものである。以上の結果は、一時的な食環境の変化では、脳内脂肪酸合成は影響を受けず安定していることを示しており、また脳の脂肪酸組成は末梢と独立して構築され、脳血液関門を通した末梢脂肪酸変動の影響を受けにくいことを意味している
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