2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内脂肪蓄積量の増減が生活習慣病発症に及ぼす影響
Project/Area Number |
14770611
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
笠岡 宜代 (坪山 宜代) 独立行政法人 国立健康・栄養研究所, 生活習慣病研究部, 研究員 (70321891)
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Keywords | 肥満 / UCPs / 高脂肪食 / トランスジェニックマウス / 脂肪組織 / 筋肉 / 熱産生 / 共役リノール酸(CLA) |
Research Abstract |
肥満は糖尿病等の生活習慣病を引き起こすことが知られており、その原因として内臓組織(筋肉、脂肪組織、肝臓)への脂肪の蓄積増加が推測されている。しかし、どの組織の脂肪蓄積が引き金となって生活習慣病を惹起するのかは不明である。これまでに、脂肪組織でUCP2を軽度過剰発現させたところ、高脂肪食誘導性の肥満/糖尿病/高脂血症の発症を有意に改善する事を認めている。本研究では、筋肉特異的に熱産生を増加させ脂肪の蓄積量を減少させたトランスジェニックマウスを作成し、生活習慣病の発症機序を検討した。 エネルギー消費/熱産生を高める可能性が考えられている脱共役蛋白質(UCP3)を筋肉特異的に軽度過剰発現(約2倍)させたトランスジェニックマウスを作成した(Muscle-UCP3)。Muscle-UCP3トランスジェニックマウスおよび野生型マウスに高脂肪食を摂取させたが、Muscle-UCP3トランスジェニックマウスは野生型マウスと同程度に肥満を発症し、糖尿病、高脂血症の改善は全く認められなかった。また、脂肪組織でUCP2を増加させる食事成分として共役リノール酸(CLA)を見い出したが、CLAは体脂肪を極端に減少させるため、脂肪肝や高インスリン血症等の副作用を生じる。そこで、副作用を生じずに効率良く体脂肪を減少させる食事条件を検討する目的で、CLA含量および食事中の脂肪含量の影響を検討した。低用量のCLA摂取は効果的に体脂肪を減少させ、脂肪肝やインスリン抵抗性を生じない事が明らかとなった。また、高用量のCLA添加でも高脂肪食にCLAを添加した場合には脂肪肝や高インスリン血症は発症しなかった。 以上の結果から、生活習慣病の予防には筋肉よりも脂肪組織のエネルギー消費の亢進が効果的である可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka, Hiromi Miyazaki, Seiichi Kasaoka, Osamu Ezaki: "Increasing the amount of fat in a conjugated linoleic acid-supplemented diet reduces lipodystrophy in mice"J. Nutr.. (in press). (2003)
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[Publications] Mayumi Takahashi, Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka, Teruyo Nakatani, Masami Ishii, Shuichi Tsutsumi, Hiroyuki Aburatani, Osamu Ezaki: "Fish oil feeding alters liver gene expressions to defend against PPARα activation and ROS production"Am. J. Physiol.. 282. G338-G348 (2002)
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[Publications] Teruyo Nakatani, Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka, Mayumi Takahashi, Shinji Miura, Osamu Ezaki: "Mechanism for PPARa activators-induced up-regulation of UCP2 mRNA in rodent hepatocytes"J Biol Chem.. 277. 9562-9569 (2002)
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[Publications] Shinobu Ikeda, Hiromi Miyazaki, Teruyo Nakatani, Yuko Kai, Yasutomi Kamei, Shinji Miura, Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka, Osamu Ezaki: "Up-regulation of SREBP-1c and lipogenic genes in skeletal muscles after exercise training"Biochem Biophys Res Commun. 296. 395-395 (2002)